1988 Fiscal Year Annual Research Report
神経系の発達とニューロン・グリアの相互作用-細胞間物質の関与
Project/Area Number |
63570376
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
仙波 りつ子 愛知県コロニー, 発達障害研究所, 主任研究員 (80100163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 ふみ子 愛知県コロニー, 発達障害研究所, 研究助手
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Keywords | PC12細胞 / 神経成長因子 / プロテオグリカン / ヘパラン硫酸 / コンドロイチン硫酸 / 細胞間物質 |
Research Abstract |
神経系の発達にはニューロン・グリアの相互作用が不可欠であるが、その物質的背景は必ずしも明らかではない。プロテオグリカンも神経系の発達に重要と考えられているが、神経系のプロテオグリカンに関する知見は少なく、神経細胞・グリア細胞のおのおのが産生するプロテオグリカンの性質すら明らかでない。本年度は神経細胞の分化に伴うプロテオグリカンのうち、糖鎖部分であるグリコサミノグリカンの量的、質的変化について調べた。神経細胞として、神経成長因子(NGF)に反応して神経様突起を伸長する末梢神経細胞のモデル細胞、PC12フェオクロモサイトーマ(PC12)細胞を用いた。 1.PC12細胞は通常丸い形をしているが、NGFの添加により偏平な形になる。培養3日目ではまだ突起を持たないが、4月頃から徐々に突起を伸長し、9日頃には長い突起を形成するようになる。そこで培養3日、6日、9日でグリコサミノグリカンを解析した。 2.細胞層からヘパラン硫酸(HS)、コンドロイチン硫酸(CS)、培養液からCSが検出された。 3.HS,CSの細胞層の含量および合成量はNGFで処理した培養3日目の細胞で高く、培養液中に放出されるCSも3日目ですでに増加していた。 4.培養3日で観察されるHS、CSの増加は、HS、CSの合成活性の上昇によることが示唆された。 5.NGFによりHSのN-結合性硫酸が増加することが明らかになり、HSの構造変化が推察された。一方、CSは現在の解析法による限りNGFによる変化は認められなかった。 以上、PC12細胞のグリコサミノグリカンの量的、質的変化は突起形成過程の初期段階に観察されることが明らかとなった。次にプロテオグリカンとしての性質を明らかにしていく予定である。
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[Publications] R.Katoh-Semba,;H.Keino,;S.Kashiwamata;: Cell,Tiss,Res.252. 133-139 (1988)
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[Publications] R.Katoh-Semba,;A,Oohira,;M.Sano,;S.Kitajima,;S.Kashiwamata.: Neurochem,Res.13. 1092-1093 (1988)
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[Publications] 仙波りつ子、大平敦彦、柏俣重夫: 神経化学. 27. 92-93 (1988)
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[Publications] M.Sano,;K.Kato,;T.Totsuko,;R.Katoh-Semba,: Brain Res.459. 404-406 (1988)
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[Publications] R.Katoh-Semba,;A.Oohira;M.Sano,;K.Watanabe,;S.Kitajima,;S.Kashiwamata,: J.Neurochem. (1989)
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[Publications] R.Katoh-Semba,;R.Semba;S.Kashiwamata,;K.Kato.: J.Neurochem.(1989)