1988 Fiscal Year Annual Research Report
流れの条件下で培養した血管内皮細胞の物質透過性に関する研究
Project/Area Number |
63570380
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐藤 正明 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (30111371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 宣雄 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (50015971)
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Keywords | 培養内皮細胞 / せん断応力 / 物質透過性 / 細胞骨格 / マイクロフィラメント / 力学的性質 / 血小板血栓 / 光-色素反応 |
Research Abstract |
ブタ大動脈から採取した内皮細胞を継代培養して以下の実験に使用した。実験装置としては、血液粘土計の一部を改良した円錐平板型の装置を本年度新たに製作し、内皮細胞にせん断応力を負荷できるようにした。 1.流れの条件下での物質透過性実験に先立ち、その対照として静置培養系での実験を行った。膜としては、ニュークリポアフィルタにコラーゲンをコートしたものを用い、この上に内皮細胞を培養した。トレーサ物質としては、分子量約400のフルオレセインナトリウム、分子量4k〜500kのFITC-デキストラン及び分子量約70kのFITC-アルブミンを用いた。こうして、トレーサ物質の透過性を検討したところ、分子量の最も大きい50kのFITC-デキストランを除いてほぼ分子量に依存して透過性が変化していることがわかった。流れの条件下での透過性実験については現在進行中である。 2.培養内皮細胞の力学的性質に果たす細胞骨格の役割をマイクロピペット法を使った粘弾性特性試験によって検討した。その結果、マイクロフィラメントの粘性及び弾性特性が細胞全体の力学的性質に強く影響を及ぼしていることが明らかとなった。一方、マイクロチューブルの粘性特性は比較的弱く弾性的性質を持った成分であることがわかった。 3.ガラスの上に内皮細胞を培養してせん断応力を負荷する実験を行っている際に、培養液の代わりにPRP(血小板多血漿)を用い蛍光色素と光の反応を起こさせると、in vivoにおいて血小板血栓ができて来るのと同様に、内皮細胞上に血小板が粘着、凝集して来る現象が新たに見つかった。この原因については、光-色素反応によって発生する活性酸素が内皮細胞膜に微小な傷害を与えていることが示唆された。また、この現象の一部である血小板の凝集は、アラキドン酸カスケードのシクロオキゲナーゼ阻害酵素によって抑制されることが判明した。
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[Publications] M.Sato: Journal of Biomechanical Engineering.
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[Publications] M.Sato: Nature.
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[Publications] M. Sato: "Proceding of Internatona symposium on"The Role of Blood Flow in Atherogenesis"" Springer-Verlag, 189-194 (1988)