1988 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧の発症機序における食塩とストレスの関連に関する研究
Project/Area Number |
63570381
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 敏郎 東京大学, 医学部第四内科, 講師 (10114125)
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Keywords | 高血圧 / ストレス / 食塩 / 交感神経 |
Research Abstract |
近年、食塩による血圧上昇機序に腎交感神経系の亢進が関係していることが報告されている。今回、食塩高血圧発症機序における食塩とストレスの相互依存的役割を明らかにする目的で、Deoxycorticosterone acetate(DOCA)投与ラット(食塩感受性高血圧モデル)に対して高Na食または高Na食+高K食を投与し、4週間飼育後、精神的ストレスであるair stressを負荷し、血圧、尿中ナトリウム、カリウム排泄、腎血行動態、血中および尿中カテコールアミンの変化を測定した。実験4週目air stressを行うため、ラットを改良型ボールマンケージに入れ、顔面に(一定の弱い圧で)空気を吹き付けた。腎血漿流量(RPF)はPAH法にて、また糸球体濾過率(GFR)は^3H-Inulin法にて測定した。正常ラットに、air stressを行っても尿中ナトリウム排泄は変化しないが、食塩感受性高血圧モデルのDOCA-食塩高血圧ラットでは、air stress時に腎交感神経活動の亢進を生じ、尿中ナトリウム排泄が低下した。更に、air stress時にはRPF、GFRの変化も伴わなかったことから、尿中Na排泄への影響は腎神経を介する直接作用によるものと考えられた。一方、高Na食と同時に高K食を投与されたDOCA-食塩ラットでは、血圧上昇の抑制がみられ、また、air stress時の腎交感神経活動の亢進および尿中ナトリウム抑制の低下がみられなかった。 以上より、食塩高血圧ラットでは、ストレスに対して腎交感神経活動の亢進が起こり、ナトリウム貯留を生じ、これが高血圧発症と関係しているものと考えられた。一方、カリウムの投与はストレスに対する腎交感神経系の反応性を改善させ、その結果、ナトリウムバランスが正常に保たれることにより、降圧を生じたと考えられた(1989年度3月、日本循環器学会発表)。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Fujita,T;Ito,Y;Noda,H;Sato,Y;Kanagawa,K;Matsuo,H: J Clin Invest. 80. 832-840 (1987)
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[Publications] Fujita,T;Sato,Y: J Clin Invest. 82. 993-997 (1988)