1988 Fiscal Year Annual Research Report
圧負荷肥大心筋の細胞膜イオン輸送機構に関する基礎的検討
Project/Area Number |
63570404
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
牧野 直樹 九州大学, 生体防御医学研究所, 講師 (60157170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 敏 大分医科大学, 医学部, 助教授 (50158440)
矢野 健一 九州大学, 生体防御医学研究所, 医員
畑 知二 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (90198739)
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Keywords | 心筋肥大 / カルシウム / 心筋細胞膜 |
Research Abstract |
肥大心筋の細胞膜カルシウム動態について検討を行なった。肥大心筋のモデルは大動脈狭窄により作成した群と自然発症高血圧ラットの2群について各々の対照群との比較検討を行なった。細胞膜Na^+K^+ATPase活性では自然発症高血圧ラットの7週齢以降に低下することを認め、大動脈狭窄ラットでは対照群に比較して差を認めなかった。一方、細胞膜のNa-Ca^<2+>交換機構は肥大心筋群(自然発症高血圧ラットおよび大動脈狭窄ラット共に)に有意に亢進していた。同様に、細胞膜のCa^<2+>-Mg^<2+>ATPase活性は肥大心筋群で有意に増加していた。これらの亢進作用は高血圧に伴って発生するため、肥大の進展過程と密接な関連を認めた。次に、肥大心筋のCa^<2+>チャンネル結合能についても検討を行なった。自然発症高血圧ラットでは20週齢以降に総Ca^<2+>チャンネル数の増加を認めたが、大動脈狭窄ラットでは狭窄手術後4週目にはCa^<2+>チャンネル総数の低下を認めた。しかし、両群共に親和性には変化を認めなかった。膜脂質の構成についても併せて検討を行なった。膜リン脂質分画については大動脈狭窄ラットの細胞膜ではフォスファチジルコリンとフォスファチジルエタノーラミンの増加を認めたが、自然発症高血圧ラットでは対照に比し有意差を認めなかった。 上記の研究成果はアメリカ生理学会誌(心・循環生理の部)に掲載が決定した。 今後の研究については、肥大心筋の収縮特性の変化と膜Na^+-K^+ATPase活性との関係や、肥大心筋細胞膜の脂質成分をガスクロマトグラフィー法にて測定し、如何なる膜代謝障害を来たすか検討する予定である。更に膜の流動性についても赤外線スペクトル法を用いて検討する計画である。この様に、心筋肥大の細胞内代謝や膜代謝の異常を明らかにすることは、今後増加するであろう高血圧性肥大心の病態解明やその防御機転を見い出す糸口になると思われる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Nakanishi.H.;Makino.N.;Hata.T.;Matsui.H.;Yano.K.;Yanaga.T.: American Journal of Physiology. in press. (1989)
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[Publications] Hata.T.;Makino.N.;Nakanishi.H.;Yanaga.T.: Molecular and Cellular Biochemistry. 84. 65-76 (1988)
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[Publications] 畑知二、牧野直樹、仲西廣展、矢永尚士: 心筋の構造と代謝. 10. 397-404 (1987)
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[Publications] 仲西廣展、牧野直樹、松井寛輔、矢野健一、畑知二、矢永尚士: 心筋の構造と代謝. 11. (1988)
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[Publications] Makino.N.;Nakanishi.H.;Yoshida.S.;Yanaga.T.: Journal Clinical Investigation.