1989 Fiscal Year Annual Research Report
エントレインメント現象による特発性心室性頻拍症の機序、抗不整脈剤の作用部位の検討
Project/Area Number |
63570405
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
奥村 謙 熊本大学, 医学部・附属病院, 講師 (20185549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 公士 熊本大学, 医学部・附属病院, 助手 (00190546)
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Keywords | 特発性心室性頻拍症 / エントレインメント / 遅延伝導 / 抗不整脈剤 |
Research Abstract |
左室起源の特発性心室性頻拍症がリエントリ-によること、そしてその回路内には遅延伝導部位が存在することを既に明らかにしたが、抗不整脈剤がリエントリ-回路にどのように作用するかについて検討した。通常の方法にて心室性頻拍症を誘発し、エントレインメント現象を確認しペ-シング部位より頻拍症の最早期興奮部位までの伝導時間および右室内伝導時間を測定した。最早期興奮部位までの伝導時間は417±21msecで、右室内伝導時間は80±10msecであり、前者に遅延伝導が存在すると考えられた。ベラパミル投与後、心室性頻拍症のレ-トは平均23拍/分減少したが、エントレインメント中に測定された伝導時間は最早期興奮部位までが498±45msecへと有意に延長したのに対し、右室内伝導時間は80±10msecと不定であった。すなわちベラパミルはリエントリ-回路内の遅延伝導部位に選択的に作用し、伝導時間を延長し、その結果頻拍症のレ-トが減少したことが示された。以上の抗不整脈剤の選択的作用が、器質的心症患を合併した心室性頻拍症においてもあてはまるかどうかを検討する目的で、陳旧性心筋梗塞後再発をくり返した心室頻拍症のエントレインメントを行い、同様の方法で遅延伝導に対するI群抗不整脈剤(プロカインアミド)の効果を検討した。その結果、プロカインアミドは右室内伝導時間を軽度延長したが、最早期興奮部位までの伝導時間を著明に延長し、用量依存性に局所性ブロックを来し、頻拍症を停止させた。特発性心室性頻拍症と同様に、抗不整脈剤がリエントリ-回路内の遅延伝導部位により強く作用することが示された。このことは抗不整脈剤の頻拍停止機序を示すものと考えられる
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[Publications] Ken Okumura 他: "Entrainment of idiopathic ventricular tachycardia of left ventricular origin with evidence for reentry with an area of slow conduction and effect of verapamil" American Journal of Cardiology. 62. 727-732 (1988)
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[Publications] Henthorn RW;Ken Okumura 他: "A fourth criterion for transient entrainment.The electrogram equivalent to progressive fusion" Circulation. 77. 1003-1012 (1988)
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[Publications] Ken Okumura 他: "Facilitation of localized conduction block with procainamide during entrainment of sustained ventricular fachycardia" American Heart Journal. 118. 630-632 (1989)
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[Publications] 奥村謙: "entrainment.リエントリ-の一所見" medicina. 26. 8-10 (1989)
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[Publications] 奥村謙 他: "エントレインメント現象による慢性及復性心室性頻拍症発症機序の検討" 心電図. 9. 189-194 (1989)
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[Publications] 奥村謙: "エントレインメントとは何か" Pharma Medica. 7. 155-156 (1989)
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[Publications] 奥村謙(比江嶋一昌編集): "「Practical seminar不整脈」C-3.虚血性心疾患に伴う不整脈" 日本医事新報社, 250 (1990)