1989 Fiscal Year Annual Research Report
実験的冠動脈閉塞におけるANP動態、交感神経の受容体及び心筋微細形態変化の研究(副題:冠動脈の再還流及び側副血行の影響)
Project/Area Number |
63570407
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
佐野 敏男 横浜市立大学, 医学部第2内科, 助手 (90154129)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 當男 横浜市立大学, 医学部第2内科, 教授 (90010363)
二瓶 東洋 横浜市立大学, 医学部第2内科, 講師 (20128606)
梅村 敏 横浜市立大学, 医学部第2内科, 助手 (00128589)
|
Keywords | 実験的冠動脈閉塞犬 / 側副血行路 / 左冠動脈閉塞と再還流 / 心筋組織血流量 / 心筋酸素分圧 / Dahlラット / 心筋肥大 / 心筋のα_1受容体 |
Research Abstract |
A)虚血領域の心筋酸素分圧に対する側副血行路の影響を検討する為に側副血行路の富んだ犬を用いた。左前下行枝(LAD)支配領域へ分布する左回旋枝からの則副血行路を結紮した群(n=29)(GI)と、結紮しない対象群(n=18)(GII)を作成した。LADを1時間結紮した後、1時間再還流した。LAD閉塞10分後の心室細動発生率は、側副血行路結紮群で高かった。(GI72.4%対GII31.3%、P<0.01)血行動態においては、心拍数、血圧、左室圧、心拍出量は両群間に有意差がなかったが、^<dp>/_<dt>/Pは両群ともに結紮60分後に低下した。乳酸代謝では、LAD閉塞時と再還流時ともに両群間に差はなかった。虚血部の心内・外膜側の心筋組織血流量(MBF)の測定は水素クリアランス法によった。心内膜側のMBFでは、LAD閉塞後と再還流後ともに両群間に差を認めなかった。心外膜側では、側副血行路結紮群は非結紮群に比べて、LAD閉塞10分後と60分後のMBFは少なかった。(LAD閉塞10分後、1.5±1.5対16.0±6.5、P<0.05、LAD閉塞60分後、5.6±3.4対23.7±7.3、P<0.05)再還流後のMBFは、両群間に差はなかった。虚血部の心内・外膜側の心筋酸素分圧を測定した。心内膜側では、LAD閉塞後に有意な減少は見られなかったが、再還流後では、側副血行路結紮群の心筋酸素分圧は、結紮前に比べて低下し、回復も遅れた。(結紮前、23.1±3.4、再還流10分後、13.7.±0.9、P<0.05、再還流60分後、20.0±4.0、P<0.05)心外膜側の心筋酸素分圧は、両群間で差が認められなかった。 B)高食塩食によるDahlラットの心筋α_1受容体の特性の変化を検討した。Dahl食塩感受性(S)ラットでは、食塩負荷に伴い、食塩抵抗性(R)ラットに比べて血圧は上昇し、心重量は増加した。これに伴いSラットの心筋α_1受容体数はRラットに比べて増加した。7週令のSラットで増加していた親和性には差が認められなかった。以上からDahlSラットにおける心筋の肥大に心筋α_1受容体が関与している可能性があると考えられた。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 林修一: "Dahlラットにおける心α_1受容体についての検討" Japanese Girculaticn Jcurnal. 53. 303 (1989)
-
[Publications] 梅村敏: "ヒト腎糸球体α_2受容体の証明" Japanese Girculaticn Jcurnal. 53. 242 (1989)
-
[Publications] 佐野敏男: "左冠動脈前下行枝閉塞時の心内膜側心筋酸素分圧に及ぼす側副血行の影響" 脈管学. 29. 992 (1989)
-
[Publications] 林修一: "高食塩食によるDahlラットの心筋α_1受容体の特性の変化の検討" Japanese Girculaticn Jcurnal. 54. 324 (1990)
-
[Publications] Toshio Sano: "Role of collateral circulaticn on the subendocardial oxygen tension after reperfusicn of the left anterior descending artery" Xll^<th> Congress of the European Society of Cardiology.