1990 Fiscal Year Annual Research Report
実験的冠動脈閉塞におけるANP動態,交感神経の受容体及び心筋微細形態変化の研究(副題:冠動脈の再潅流及び側副血行の影響)
Project/Area Number |
63570407
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
二瓶 東洋 横浜市立大学, 医学部, 講師 (20128606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 當男 横浜市大, 医学部, 教授 (90010363)
梅村 敏 横浜市大, 医学部, 助手 (00128589)
佐野 敏男 横浜市大, 医学部, 非常勤講師 (90154129)
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Keywords | 冠動脈再潅流 / 電子顕微鏡観察 / 心筋虚血変化 / 毛細血管虚血変化 / 側副血行 / “noーreflow"phenomenon |
Research Abstract |
冠動脈閉塞後再潅流において電子顕微鏡観察により冠動脈閉塞時間と毛細血管虚血障害程度の関係を検討し,虚血部心内膜側での毛細血管障害と心筋細胞障害のどちらが先行するのかの検討および側副血行が心筋障害程度を軽減するか否かの検討を行なった。【方法】側副血行の富んでいる雑種成大を麻酔し,人工呼吸下に開胸後左冠動脈前下行校(LAD)を第1対角板分岐部直下で10分結紮後60分再潅流したA群(n=5)と60分結紮後60分再潅流したB群(n=6)と90分結紮後120分再潅流したC群(n=5)の虚血部心内膜側心筋を採取した。60分結紮60分再潅流群では,左回旋枝からLAD支配領域へ走る直視可能な側副血行路をすべて結紮したD群(n=6)も作成しB群と比較した。【結果】A群に虚血変化を認めなかった。毛細血管の虚血変化はC群がB群より強かった。毛細血管断裂もC群がB群より多かった。(7.2%対0.4%,P<0.01)心筋虚血変化のミトコンドリア内Ca果粒,筋原線維収縮帯壊死もC群で各々62.4%,50.6%でB群の20%,29.4%より多かった。(P<0.01)側副血行の有無の比較では,毛細血管虚血変化の内皮細胞異常突起と小胞体はD群が各々7.4%,8.9%とB群の0.8%,2%より多かった。(P<0.01)心筋細胞の不可逆性虚血変化もD群がB群より多かった。筋原線維の収縮帯壊死,ミトコンドリア内Ca果粒はD群で各々49.4%,34.3%でB群の29.4%,20%より多かった。(P<0.01)C群では,毛細血管内腔が,内皮細胞異常突起,小胞体と赤血球で占められ閉塞している所見が多数見られた。【総括】毛細血管虚血変化は60分から90分閉塞の間で著しく悪化した。心筋虚血障害は毛細血管虚血障害に先行して生じることが示唆された。側副血行は,心筋とも毛細血管障害を軽減した。毛細血管内皮細胞異常突起と小胞体と赤血球による毛細血管内腔閉塞が“noーreflow" phenomenonの1つの因子となり得ることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 佐野 敏男: "左冠動脈前下行枝再潅流時の心筋微細構造および毛細血管の虚血変化に及ぼす側副血行の影響" 心筋の構造と代謝. 13. (1990)
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[Publications] 佐野 敏男: "実験的冠動脈再潅流の時期および心筋虚血変化と毛細血管虚血障害程度の差異について" Japanese Circulation Journal(abstract). (1991)
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[Publications] T.Sano: "Ultrastructural changes in the capillary endothelium and myocardial cells of reperfused ischemic hearts indogs" European Heart Journal(XIII^<th>congress of the European society of Cardiology. (1991)