1988 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧発症維持機構に占めるカルシウム代謝調節ホルモンとカテコラミンとの相互関係
Project/Area Number |
63570409
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
吉村 学 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (40094453)
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Keywords | 高血圧 / カルシウム / カテコラシン / ドーパミン / 副甲状腺ホルモン / カルシトニン |
Research Abstract |
高血圧症の発症維持機構に占めるカルシウム(Ca)代謝調節ホルモンの役割を明らかにする為、Ca代謝調節ホルモンとカテコラミンとの相互関係を検討した。1:本態珍高血圧症患者での検討(1)Ca代謝異常の有無:未治療の本態性高血圧症患者の血中総Ca値、副甲状腺ホルモン(PTH)及びカルシトニン(CT)濃度には正常血圧者に比し差はなかったが、血漿イオン化Ca濃度に低下傾向を認めたことにより、本症患者ではCa代謝異常の存在が示唆された。一方血漿並びに尿中排泄カデコラミン濃度は両群間で差運がなかった。(2)Ca塩負荷の影響:本症患者にグルコン酸カルシウム(Ca塩)2g/日を4週間投薬し、血圧並びに血漿レニン活性(PRA)、アルドステロン濃度(PAC)、血中並びに尿中排泄カテコラミン濃度、PTH、CT濃度を測定した。Ca塩投薬により収縮期並びに平均血圧は有意に下降した。血中PTH濃度は低下傾向を、CT濃度は上昇傾向を示したが、PRA並びにPACは投薬前後で差違がなかった。血中並びに尿中排泄ノルアドレナリン(NA)、アドレナリン濃度は前後で差違がなかったが、尿中遊離型ドーパミン(DA)排泄量はCa塩投与にて有意に増量した。尿中Na排泄量はCa塩投与にいCa排泄量と共に有意に増量し、Na排泄量と血圧下降度は正相関した。従ってCa負荷の降圧機序として、従来より報告されて来たPTH並びに内因性ビタミンD_3濃度以下に基づく血管平滑筋細胞膜でのCaイオン流入低下による総末梢血管低抗の減弱による降圧機序の他に、Ca塩負荷による腎DA産生亢進に基づくNa利尿の増量も降圧機序の一側面と考えられる。2:ラットでの検討:ウイスターラットにCa塩負荷を行うと、ヒトと同様、尿中遊離型DA並びにNa排泄量の増量を認めた。以上の所見よりCaは腎尿細管細胞でDA産生を促がし、Na再吸収抑制に基づくNa利尿を来す機構の存在が示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 池垣岩夫,吉村学,西村眞人,松沢誠,高橋伯夫: 日本内分泌学会雑誌. 65. (1989)