1988 Fiscal Year Annual Research Report
心筋内微小循環の機能的特性の心内膜側と心外膜側の差異とその意義に関する実験的解析
Project/Area Number |
63570417
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
辻岡 克彦 川崎医科大学, 医用工学, 助教授 (30163801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 資之 川崎医科大学, 麻酔科, 助教授 (30069067)
忠岡 信一郎 川崎医科大学, 循環器内科, 講師 (30188255)
小笠原 康夫 川崎医科大学, 医用工学, 講師 (10152365)
梶谷 文彦 川崎医科大学, 医用工学, 教授 (70029114)
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Keywords | 心筋内冠循環 / 微小循環 / 心内膜側 / 心外膜側 / 心筋灌流 / 壁厚 |
Research Abstract |
心筋内微小循環系は、物質交換の場であるとともに血流調節の主役となっており、その機能的特性の解明は冠循環系の特性把握のために重要であるが、従来研究方法の欠如のためにそれに関する知見は乏しかった。最近研究代表者らの研究グループは、レーザドプラ法による冠静脈血流の計測とサーボシステムによる冠灌流圧の制御を用いて、心筋内微小循環系の入力持性がunstressed volumeと通常のキャパシタンスよりなることを明らかにした。以上は心筋をglobalにみたものであるが、心筋を層別にlocalにみると、心筋の局所特性は異なり、例えば心筋虚血に際して、心内膜側は心外膜側より虚血に陥りやすいことが知られている。この現象に心筋内微小循環系の機能的特性の心内膜側と心外膜側の差異が関与している可能性が大きいにもかかわらず、その実態は明らかでない。本研究では心筋内微小循環系の特性をより詳細に解析すると共に、心内膜側と心外膜側の微小循環動態の差異とその意義を解明することを目的とした。その結果、心筋内微小循環系の入出力特性がレオロジカルな因子により大きく影響を受けることを明らかにした。すなわち、血液ヘマトクリットの上昇は、心筋内冠血管抵抗を増大させるのみならず、冠流入がゼロとなる冠灌流圧(Pfz)をも増大させた。ヘマトクリットの上昇は血液粘度を増大させるので、心筋内冠血管抵抗はこれに起因すると考えられる。一方、ヘマトクリットの増大によるpfzの増大は、血液のレオロジカルな性質がPfzに影響することを示す点においてpfzの成因との関連で興味深い。一方、心内膜側と心外膜の微小循環系の特性を検討した結果、心内膜側の方が拡張期心期心筋流入血流立ち上りの時定数が大きい傾向を認めた。これは、心内膜側循環系の方が抵抗、またはコンプライアンスが大きいことを意味するので、今後計測精度を上げて、さらに検討する必要があると考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] F.Kajiya,et al.: Biorheology. 25. 227-235 (1988)
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[Publications] F.Kajiya,et al.: Cardiovascular Research. 22(8). 545-554 (1988)
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[Publications] K.Tsujioka,et al.: August. (1988)