1988 Fiscal Year Annual Research Report
小児腎不全患者における高脂血症の成因に関する臨床的研究
Project/Area Number |
63570424
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中原 千恵子 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (70180338)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 庸次 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (20129050)
高橋 正彦 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (20090003)
|
Keywords | 小児 / 腎不全 / 血液透析 / 脂質 / リポ蛋白 / アポ蛋白 |
Research Abstract |
血液透析を受けている17例の腎不全小児(以下HD群)の血清脂質、リポ蛋白分画の脂質およびアポ蛋白、LCAT活性、リポ蛋白リパーゼ活性(LPL)肝性TGリパーゼ(HTGL)を測定し、健康小児(以下C群)18例の成績と比較した。 1.血清中性脂肪(TG)はHD群で194.5±60.3mg/dlであり、C群の68.2±21.1mg/dlに比し有意(p<0.01)に高値であった。血清総コレステロールには両群間の差は見られなかった。2.超低比重(VLDL)、中間比重(IDL)、低比重(LDL)の各リポ蛋白のTGはHD群で有意に増加していた。VLDLとIDLでは、コレステロールにも有意な増加が見られたが、高比重リポ蛋白のコレステロール(HDL-C)はHD群で有意に低値であり、LDL-Cには有意差は認められなかった。3.血清アポ蛋白では、AI,AII,CIIIがHD群で有意に高値であり、CII/CIII比はHD群で有意に低値であった。4.VLDLではアポB,CII,CIIIがHD群で有意に高値であり、IDLではCIIIがLDLではEが、それぞれ高値であったが、LDLのアポBには有意差が認められなかった。HD群のHDLはAI,AIIEが低値、CIIIが高値であり、その結果CII/CIII比は有意に低値であった。5.LCAT活性はHD群で59.8±18.6uC群で72.0±26.0uであり、HD群で有意に低下していた。6.HD群のLPLは2.87±3.7,HTGLは3.03±0.87であり、C群のそれぞれ5.21±0.29,6.38±0.56に比して低値であった。7.HD群のLPLとVLDL-TGの間にはr=-0.69,HTGLとIDL-TGの間にはr=-0.55の負の相関がみられた。 以上の結果から、透析小児の高脂血症の主因はLPL作用の低下によるVLDLの異化障害にあると考えられるが、補酵素アポCII/CIII比の低下か、基質としてのVLDLの質的異常がその原因と考えられた。また、HDLのアポ蛋白は低下しており、LCAT,HTGLなど、HDL自体の代謝に必要な補酵素活性の低下も見られることから、HDLの代謝にも障害があると考えられた。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Chieko,Nakahara: Nephron.
-
[Publications] Ken,Matsuyama: Pediatric Nephrology.