1988 Fiscal Year Annual Research Report
Elマウスのけいれんにおける脳内ノルアドレナリン作動性神経の関与に関する研究
Project/Area Number |
63570435
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 正利 京都大学, 医学部, 助手 (90135567)
|
Keywords | Elマウス / アドレナリン受容体 / α1受容体 / α2受容体 / β受容体 / ノルアドレナリン |
Research Abstract |
生後4週令より週1回の放り上げ刺激を与え、24週令のけいれん準備性を獲得したElマウス〔El(+)〕、刺激を与えずけいれんを一度もおこしていないElマウス〔El(-)〕、Elマウスの母系のddYマウスを実験に用いた。全脳又はGlowinskiとIversenの方法による7つの部位でのβ、α1、α2受容体を、それぞれ〔^3H〕DHA、〔^3H〕prazosin、〔^3H〕yohimbinをリガンドとしたradioreceptor assayで測定した結果、β受容体には差がなかったが、α1受容体は、小脳および線条体でEl(+)、El(-)ともにddYと比べて有意に増加していた。α2受容体は、大脳皮質、海馬および脳幹部でEl(+)、El(-)ともにddYと比べて増加していた。El(+)とEl(-)では、α1、α2受容体ともに差がなかった。Elマウスのけいれんは、ノルアドレナリン、α1作動薬のフェニレフリン、α2作動薬のクロニジンによって用量依存性に抑制され、それぞれの遮断薬であるプラゾシン、ヨヒンビンの前投与によって、それらのけいれん抑制効果は解除された。これらのことよりElマウスにおいて、α受容体が大脳皮質、海馬、脳幹で増加していたことは、α2受容体がElマウスの発作開始やその全般化に関与していること、一方、α1受容体が小脳や線条体で増加していたことは、発作の伝播や終了に関与していることが示唆された。 今後、Elマウスの脳内各部位におけるカテコールアミン濃度および代謝回転を測定し、受容体の変化との相関を検討する。
|