1989 Fiscal Year Annual Research Report
E1マウスの痙攣における脳内ノルアドレナリン作動性神経の関与に関する研究
Project/Area Number |
63570435
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
伊藤 正利 京都大学, 医学部, 助手 (90135567)
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Keywords | E1マウス / アドレナリン受容体 / α_1受容体 / α_2受容体 / ノルアドレナリン / ド-バミン / cAMP |
Research Abstract |
本研究では中枢神経系(CNS)のNA作動性神経系の痙攣に対する作用の解明を目的として、遺伝的痙攣モデルのE1マウスの全脳または部分脳を用いて、アドレナリン作動薬の抗痙攣効果の検討、神経伝達物質のNA、DAの定量、NA作動性神経系の受容体の定量、セカンドメッセンジャ-のcAMPの定量というように、一連の流れとしての実験を行ってきた。そこで明らかにされた主要な結果を列挙すると以下の様になる。 1;E1マウスの脳内のNA作動性神経系は痙攣のおいて抑制的に関与しており、その効果はα_1およびα_2受容体を介して発現し、β受容体を介しての効果は乏しい。 2;E1マウスの線条体、小脳でα_1受容体、大脳皮質、海馬でα_2受容体がup-regulateしており、これらの部位でNA作動性神経系は痙攣に対し抑制的に働くと考えられる。 3;E1マウスの痙攣の完成時期に伴い、NA量の低下が海馬、線条体、前頭葉などでみられ、これらがα受容体の増加に結び付く機構が示唆された。 4;海馬でのNA量の低下はNA作動性ニュ-ロンの海馬での活動性亢進、線条体での低下は活動性低下の結果であり、NA作動性神経系の痙攣に対する抑制の様式にもvariationがあり、その各々がE1マウスの痙攣感受性や痙攣自体と密接に関係している。 5;cAMPはE1マウスの大脳皮質で低下しており、痙攣後は海馬を除く各部位で上昇がみられ、cAMPもまた痙攣の抑制に関与する可能性が示唆された。
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[Publications] Hideo Tsuda,Masatoshi Ito et al,: "Involvement of Noradrenergic System in the Seizures of Epileptic El Mice." European Journal of Pharmacology,.
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[Publications] Hideo Tsuda Masatoshi Ito et al,: "Alteration of Catecholamines in Epileptic El Mice."
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[Publications] Hideo Tsuda Masatoshi Ito et al,: "Cyclic-AMP Responce to the Seizures in Epileptic El Mice and Control Mice."
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[Publications] 津田英夫,伊藤正利,他: "Elマウス脳内のノルアドレナリン受容体" NEUROSCIENCES. 15. 115-117 (1989)