1988 Fiscal Year Annual Research Report
小児造血器腫瘍のlineage診断:腫瘍細胞の遺伝子レべルでの解析
Project/Area Number |
63570436
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
多和 昭雄 大阪大学, 医学部, 助手 (00155277)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 重彦 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
泉 裕 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
勇村 啓子 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
河 敬世 大阪大学, 医学部, 助手 (70107035)
|
Keywords | 小児造血器腫瘍 / phenotype / 免疫グロブリン遺伝子 / T細胞レセプター遺伝子 / 遺伝子再構成 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
小児造血器腫瘍188例において、モノクロナール抗体を使用したPhenotype,Southern法を用いたgenotype,Northern法を用いた各種遺伝子の発現を検討し、以下の結果を得た。(1)188例の症例を形態ならびにペルオキシダーゼ染色等の特殊染色の結果、および表面マーカー解析の結果より以下のごとく分類した。Bリンパ球前駆細胞由来のもつも含むBリンパ球系腫瘍(B系腫瘍)127例、Tリンパ球系腫瘍(T系腫瘍)19例、急性非リンパ性白血病(ANLL)29例、lineage特異的なマーカーをもたないacute undifferentiated leukemia(AUL)13例である。B系腫瘍の22例、T系腫瘍の3例は、免疫グロブリンH鎖(IgH)遺伝子、T細胞レセプターβ鎖(Tβ)遺伝子がともに再構成を示す、いわゆるdual rearrangementの例であった。またANLLの3例がIgHの、4例がTβ遺伝子の再構成を示した。(2)dual rearrangementを示したB系腫瘍8例、T系腫瘍2例およびANLLでIgH、Tβ遺伝子の再構成を示したそれぞれ3例において、その遺伝子の発現を検討した。T系腫瘍においては2例いずれもTβ遺伝子の発現が優位であり、B系腫瘍においては、2例でIg遺伝子の発現が、1例でTβ遺伝子の発現が優位であった。上記以外の症例およびANLLの例では、いずれの遺伝子の発現も認められないかあるいは極めて少なかった。以上よりphenotypeと一致しない遺伝子の再構成は、一般にその発現をともなわないと考えられた。(3)12例のAULにおいて、Ig,Tβ遺伝子の発現は無いか、低値であった。またミエロペルオキシダーゼ遺伝子の発現はみられず、Northern法の導入によっても、そのlineageの同定はできなかった。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Akio Tawa: Japanese Journal of Cancer Research. 79. 359-364 (1988)
-
[Publications] Akio Tawa: Leukemin.
-
[Publications] Keiko Yumura-Yagi: Cancer. 63. 671-674 (1989)
-
[Publications] 石原重彦: 日本小児血液学会誌. 2. 168-174 (1988)
-
[Publications] 河敬世: 癌と化学療法. 15. 2667-2674 (1988)