1988 Fiscal Year Annual Research Report
百日咳毒素投与下での自律神経受容体刺激に対する犬心筋の電気生理学的反応
Project/Area Number |
63570455
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小佐野 満 慶應義塾大学, 医学部小児科, 教授 (10051088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 良行 慶應義塾大学, 医学部小児科, 講師 (60101979)
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Keywords | 百日咳毒素 / β受容体刺激 / 自動能 |
Research Abstract |
isoproterenol負荷による犬Purkinje fiberの自動能の変化を百日咳毒素投与下と非投与下で比較し、百日咳毒素の基質である41K蛋白のADPリボシル化が、β受容体刺激による自動能の変化にいかなる影響があるかを検討した。体重15ー30kgの雑種成犬をペントバルビタールで麻酔し、摘出心より採取したPurkinje fiberを、95%O_2+5%CO_2で飽和したpH7.3のTyrode液で灌流した。百日咳毒素投与群は0.5μg/mlの百日咳毒素に24時間暴露して実験に供した。百日咳毒素非投与群も24時間Tyrode液中に保存した。灌流槽を37.3±3℃に保ち3MKClで満たした微小ガラス電極を用い、高入力インピーダンス及び電気容量中和回路を持った増幅器にAgーAgClを介して連結し、心筋活動電位をオシロスコープで観察した。isoproterenolを10^<-9>〜10^<-4>Mまで段階的に増量し細胞膜電位及び自動能を測定した。百日咳毒素非投与群ではisoproterenol低濃度負荷で陰性変時作用、高濃度負荷で陽性変時作用を呈する2相性反応が3例/8例に認められ、全濃度域にわたって陽性変時作用を呈する1相性反応が3例/8例に認められた。ほとんど自動能に変化の悪かったものが2例/8例に認められた。百日咳毒素投与群では2相性反応が2例/8例に認められ、1相性反応が6例/8例に認められた。低濃度域での陰性変時作用は膜電位の過分極にともなって認められた。 今回の検討では、isoproterenol負荷で1相性の陽性変時作用を呈するfiberは、百日咳毒素投与群に多く認められた。41K蛋白がADPリボシル化して不活化されると1相性の陽性変時作用が主な反応様式となり、41K蛋白が機能していると1相性反応の割合が減少するものと思われる。すなわち百日咳毒素投与群ではβ受容体刺激に対する反応が増強してあらわれるものと思われる。
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