1988 Fiscal Year Annual Research Report
点頭てんかんの基礎的成因:痙攣発症におけるミエリン形成障害の検討
Project/Area Number |
63570457
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
泉 達郎 東京女子医科大学, 小児科, 講師 (80119891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 和俊 東京女子医科大学, 小児科, 助手 (00172362)
永木 茂 東京女子医科大学, 小児科, 助手 (20130271)
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Keywords | 点頭てんかん / ガングリオシド / GMIガングリオシド / 脳-ミエリン成熟障害 |
Research Abstract |
ミエリン関連物質として(1)ganglio-series gangliosides.(2)CNPase.(3)セレプロシドの合成酵素であるUDP-galactosyl trancferaseに注目して、これらの物質を点頭てんかん患者の脳脊髄液(CSF)にて測定した。 (2)CNPaseと(3)UDP-galactosyl trancferaseはCSFでは酵素比活性が低く、対照群との対比も困難であった。測定感度の改善が必要であった。一方、gangliosidesは抗アシアロGMI(GAI)抗体によるTLG酵素免疫染色法にて、ganglio-series gangliosidesであるGMI、GDIa、GDIb、GTIbの四種類のgangliosidesが検出可能であり、これら4種類のgangliosidesは成人脳の全gangliosidesの90-95%量に相当し、脳、特にミエリンの成熟とともにGMIが増加することより、本方法にて脳成熟障害を検討することは可能と考えた。 方法:点頭てんかん患者の5例と、年齢担当の対照群患者(良性乳児痙攣3例と、熱性痙攣2例)のCSF各1mlを、Hirabayashiらの方法にて、抽出、アルカリ水解、透析、凍結乾燥、再抽出、polygramTLCプレートにスポット、展開、シアリダーゼ処理後、第一次抗体-抗GAI抗体、第二次抗体-抗ウサギ免疫グロブリン抗体・ペルオキシダーゼ標識を順次作用させた後、反応基質溶液を加えて発色させ、デンシトメトリーにて定量した。 結果及び考察:TLCにてGMI、GMIa、GDIb、GTIbの4gangliosidesが分離よく検出された。点頭てんかん群/対象群の比較では; 1.総gangliosides223±105/539±331mg/ml、 2.GMI12.2±15.1/66.5±60.8mg/ml、 3.GDIa71.9±38.5/162.0±103.4mg/ml、 4.GDIb+GTIb138.6±54.5/311.6±173.8mg/ml、 5.GMI/GDIb+GTIb0.07±0.07/0.23±0.04であった。点頭てんかん群では総ガングリオシドの低下があり、各gangliosidesが低値であったが、脳、ミエリンの成熟ともに増加するGMIの低下が著明であった。脳成熟障害を示唆する所見と思われた。
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