1988 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎における即時型アレルギー反応によるロイコトリエン遊離に関する研究
Project/Area Number |
63570470
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
沼田 恒実 広島大学, 医学部附属病院, 講師 (70127687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 悟 広島大学, 医学部附属病院, 助手 (90158189)
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Keywords | 即時型アレルギー反応 / ロイコトリエン類 / ロイコトリエンB / radioimmuno assay. / ヒスタミン |
Research Abstract |
即時型アレルギー反応により遊離されるロイコトリエン(LT)類が種々の臓器における炎症の惹起に重要な役割を果たしていることはよく知られており、皮膚においても抗原刺激によりLTB_4が遊離されることはすでに定性的に確認した。本研究の目的はアトピー性皮膚炎の発症へのLT類の関与を解明することであり、本年度は感作皮膚から即時型アレルギー反応により遊離されるLTB_4の定量を試みた。Hartley系雄モルモットを卵白アルブミンで能動的に感作し、感作成立後腹部皮膚を採取し、厚さ500μmに細切した。細切皮膚片を特異抗原をふくむTyrode液中で37℃15分間incubateし反応上清を採取した。反応上清中のヒスタミンを高速液体クコマトグラフィーにて定量し抗原による即時型アレルギー反応が生じていることを確認し、その上清中に含まれるLTB_4をAmersham社製抗LTB_4特異抗体血清と^3HラベルLTB_4抗原を用いたRadioimmuno assayにて定量した。その結果、感作モルモット皮膚細片(1g)を100μg/mlの特異抗原で刺激した反応上清では94.7±57.1pg/mlのLTB_4が測定され、コントロール(11.1±3.6pg/ml)に比し有意にLTB_4が遊離されることが確認された。また正常モルモットの背部皮膚に標品LTB_4を皮内注射することにより血管拡張との炎症細胞の集簇像が認められた。これらの結果は、感作された皮膚に特異抗原が作用するとヒスタミンと共にLTB_4が遊離され、その作用により好中球等の炎症細胞が動員される可能性を示唆している。しかしながら、ダニ抗原感作血清で受動感作し作製したヒト皮膚細片にダニ抗原を作用させ上清中の遊離LTB_4を同様にradioimmuno assayにより測定したが、有意のLTB_4遊離は認められなかった。この結果は、感作ヒト皮膚からは抗原刺激によるLTB_4遊離が生じない可能性も示しているが、本実験系におけるLTB_4の代謝、あるいは遊離されたLTB_4の絶対量に対する測定感度等の問題点が残されており引続き検討を加えている。
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