1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63570482
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
三原 一郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (00147357)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 卓 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (90159731)
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Keywords | 皮膚病理学 / 診断学 / パターン解析 / コンピュータ診断 |
Research Abstract |
過去当科で経験した種々の既知炎症性皮膚疾患のH-E染色組織標本を顕微鏡下で観察し、表皮の変化、炎症性細胞浸潤のパターン、浸潤細胞の種数および程度などの病理組織学的所見を数量化し記載した。上記で得られたデータを解析したところ、皮膚の炎症性皮膚疾患は以下の9つのパターンに分類可能であることが実証された。1)真皮浅層にのみ血管周囲性に細胞浸潤がみられる疾患群、2)真皮浅層から深層に血管周囲性に細胞浸潤がみられる疾患群、3)細胞浸潤が結節状あるいはびまん性にみられる疾患群、4)血管炎を呈する疾患群、5)表皮内水疱および膿疱を形成する疾患群、6)表皮の水疱を形成する疾患群、7)毛包炎、毛包周囲炎を呈する疾患群、8)線維化を主体とする疾患群、9)脂肪織炎を主体とする疾患群。 以上各種組織所見の記載より、まずおもな炎症性皮膚疾患の組織学的診断基準を作成した。次に、各疾患ごとに数量化した組織所見をデータとしてコンピュータに入力し、コンピュータ診断のための知識ベースとした。試みとして、未知の炎症性皮膚疾患の組織学的所見を抽出し、コンピュータにおける人工知能を用いての組織診断を試みているが、信頼性のある知識ベースとするためには更に症例を増やしてのデータが必要である。今後、上記と同様の研究を継続し、症例数を増やすことにより更に信頼性の高い知識ベースを確立していく予定である。 腫瘍性疾患においては、どの病理学的所見として数量化すべき項目が少なく、今回のような方法でのコンピュータ診断には不向きと考えられた。今後、腫瘍の全体像などを含めた画像解析を用いた組織診断に期待したい。
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