1988 Fiscal Year Annual Research Report
悪性黒色腫におけるユウメラニン生成機序ならびにその生化学的指標に関する研究
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63570484
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
伊藤 祥輔 藤田学園保健衛生大学, 衛生学部, 教授 (70121431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若松 一雅 藤田学園保健衛生大学, 衛生学部, 講師 (80131259)
井上 茂樹 藤田学園保健衛生大学, 衛生学部, 講師 (30084601)
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Keywords | メラニン / 悪性黒色腫 / ドーパ / HPLC |
Research Abstract |
1.ユウメラニン関連代謝物の簡便な合成法の開発 ドーパをpH6.5でフェリシアン化カリウムで酸化してドーパクローム溶液を調製し、このpHに保つことにより、5,6-ジヒドロキシインドールを40%の収率で得た。一方、ドーパクローム溶液をpH13に上げることにより、5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸 (5,6DHI2C)を38%の収率で得た。さらに、これらのインドールをジアゾメタンで処理してO-メチル誘導体を得た。この方法により、今後の研究に不可欠な標準品の安定な供給が可能となった。 2.悪性黒色腫の生化学的マーカーとしてのユウメラニン関連代謝物の有用性 B16黒色腫を移殖したマウスの尿中のメラニン関連代謝物の推移を調べた。特に、フェオメラニンの前駆体であり、従来から黒色腫の生化学的マーカーとして用いられている5-S-システイニルドーパ(5-S-CD)とユウメラニンの前駆体代謝物である5-ヒドロキシ-6-メトキシインドール-2-カルボン酸(5H6MI2C)とを比較した。その結果、腫瘍の増殖の初期には、5H6MI2Cの増加の方が著しいことがわかった。次に、B16黒色腫中には、5,6DHI2C,5H6MI2Cおよびその異性体6H5MI2Cがほぼ1:1:1の比率で存在し、その総量は5-S-CD量に匹敵するが、尿中では5H6MI2Cが主要なユウメラニン関連代謝物であり、インドールの総量は5-S-CD量の約4倍であった。以上の結果から、黒色腫瘍のマーカーとしての5H6MI2Cの有用性が示唆された。 次年度は、上記の成果をふまえて、1)悪性黒色腫患者の尿中に見い出されている未知代謝物の同定、2)ヒト悪性黒色腫のマーカーとしてのユウメラニン関連代謝物の有用性、などを研究する。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kazumasa Wakamatsu,;Shosuke Ito.: Analytical Biochemistry. 170. 335-340 (1988)
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[Publications] Kazumasa Wakamatsu,;Shosuke Ito,;Keisuke Fujita.: Acta Dermato-Venereologica(Stockholm). 68. 385-389 (1988)
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[Publications] Shosuke Ito,;Kazumasa Wakamatsu.: Journal of Investigative Dermatology. 89. (1989)
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[Publications] Shosuke Ito,;Kazumasa Wakamatsu,;Shigeki Inoue,Keisuke Fujita.: Acta Dermato-Venereologica(Stockholm). 69. (1989)