1989 Fiscal Year Annual Research Report
間質と腫瘍細胞の相互作用による放射線治療効果の改善に関する研究
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63570497
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Research Institution | Keio University, School of Medicine |
Principal Investigator |
伊東 久夫 慶応義塾大学, 医学部, 専任講師 (20095574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 佳代子 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (20124480)
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Keywords | 前照射 / 放射線治療 / 間質の血管形成 / 線維肉腫 / 乳癌 / 自然肺転移 |
Research Abstract |
本年度は腫瘍の存在する間質に、放射線照射が行なわれた場合、腫瘍よりの自然転移が飾修されるか否かについて検討した。 実験方法としては、腫瘍移植前日に腫瘍移植部位に30Gyの前照射を行なった群と、腫瘍が5mmに発育した後、30Gyの放射線治療を行なった2通りの条件を用いた。移植腫瘍はC_3Hマウスに自然発生した線維肉腫N-FSaを用いた。腫瘍サイズと転移の発生の関係を明確にするため、腫瘍が目的のサイズに達したところで、腫瘍を移植した右下肢を麻酔下に切断し、右下肢切断16日後にマウスを殺して肺を摘出し、肺表面に存在する転移結節数を肉眼的に算定し、転移結節数と転移を有するマウスの頻度により効果を判定した。 正常組織に移植した無治療腫瘍からの転移は、腫瘍サイズが10mmを超えると自然転移が発生し、腫瘍サイズの増大とともに、転移を有する頻度と1匹あたりの転移結節数が増加した。一方、前照射部位に移植した腫瘍や、放射線治療を行なった腫瘍よりの転移は、腫瘍サイズが10mm以下でも出現した。照射部位で発育する腫瘍は、非照射部位で発育する腫瘍に比べて、腫瘍の増殖が遷延するため、同一サイズに達するまでの期間が長くなり、小さな腫瘍でも転移を発生したものと考えられる。 腫瘍が5mmに達した後、あるいは放射線治療後にOK-432,2.5KEを週2回、腫瘍周囲皮下に投与しておくと、転移は頻度・結節数ともに減少し自然転移を抑制することが確認された。しかし、腫瘍サイズが12mm以上になってから、OK-432投与を開始しても転移を減少させることはできなかった。すなわち、免疫賦活剤は転移発生前に投与すると有効であったが、転移発生後に投与しても効果を期待できなかった。
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[Publications] 茂松直之: "腫瘍の局所照射が自然肺転移に及ぼす影響と免疫賦活剤によるその修飾" 日本医学放射線学会誌投稿中.
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[Publications] 伊東久夫,他: "放射線治療を行なったマウス腫瘍よりの肺転移とOK-432による修飾" 癌の臨床投稿中.