1988 Fiscal Year Annual Research Report
老人性痴呆の病因と予防に関する研究ーカルシウム関連因子の関与についてー
Project/Area Number |
63570505
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森本 茂人 大阪大学, 医学部(老年病医学), 助手 (20150336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広中 隆志 大阪大学, 医学部(老年病医学), 医員
大西 利夫 大阪大学, 医学部(老年病医学), 助教授 (50107041)
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Keywords | 老年期痴呆 / アルツハイマー型老年期痴呆 / 脳血管性痴呆 / 副甲状腺ホルモン / カルシトニン / 1,25ージヒドロキシビタミンD / カルシウム |
Research Abstract |
1.臨床研究 老年期痴呆へのカルシウム関連因子の関与を検討した。長谷川式簡易痴呆評価スケールにより痴呆以外の重度の症患を有さない老年女性60例を非痴呆群と痴呆群に分け、さらに後者はRasenらの虚血スコアにより、アルツハイマー型痴呆と脳血管性痴呆に分類した。これら3群間には、平均年齢、血清クレアチニン値に有意差を認めなかった。また痴呆2群において長谷川式簡易痴呆評価スケールにも有意差を認めなかった。非痴呆群と比較して、アルツハイマー型痴呆群では血清カルシウムの低下、尿中カルシウムの上昇、血清副甲状腺ホルモンの上昇、血清1,25ジヒドロキシビタミンDの低下を認め、また脳血管型痴呆群においては血清カルシトニンの低下を認めた。これらのことよりアルツシハイマー型痴呆と脳血管性痴呆ににはそれぞれ異なるカルシウム代謝異常が存在し、アルツハイマー型痴呆の病態に血中副甲状腺ホルモンの高値、1,25ジヒドロキシビタミンDの低値が関与している可能性があり、また脳血管性痴呆には血中カルシトニンの低値が関与している可能性を明らかにした。 2.動物実験 マイクロダイアリス法により、in vivoでのラット脳線状体におけるアセチルコリン産生に与える多価不飽和脂肪酸投与、加齢、カルシウム代謝調節因子の影響を検討した。多価不飽和脂肪酸投与ラットおよび高齢ラット(2才齢)ともに脳内アセチルコリン産生量の基礎値およびアトロピン負荷時の反応性が低下していることを見いだした。さらにビタミンD欠乏ラットにおいても脳内アセチルコリン産生が低下していることを見いだしており、1,25ージヒドロキシビタミンDの投与による回復および他のカルシウム代謝調節因子による影響の検討を予定している。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 森本茂人: 臨床科学. 24. 1270-1281 (1988)
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[Publications] Morita,Ryuhei: Biochemistry International. (1989)
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[Publications] 萩原俊男: 臨床科学. 24. 1584-1588 (1988)
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[Publications] Koh,Eio: Life Sciences. 42. 215-223 (1988)
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[Publications] Miya,Keiko: "Cognifive function and serum parathyroid hormone in elderly female subjects." Andrews,G, 60 (1988)