1989 Fiscal Year Annual Research Report
分裂病者家族のもつ病態イメ-ジが社会的転帰に及ぼす影響についての研究-都市と離島の計量疫学的比較研究から-
Project/Area Number |
63570508
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
太田 保之 長崎大学, 医療技術短期大学部, 教授 (50108304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡野 純毅 長崎大学, 医療技術短期大学部, 助手 (90185455)
荒木 憲一 長崎大学, 医学部附属病院, 助手 (40202741)
道辻 俊一郎 長崎大学, 医学部, 講師 (90174060)
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Keywords | 分裂病 / 社会的活動 / 余暇時間の活動 / 家族評価 / 病態認知 / 精神症状評価 / 社会適応 |
Research Abstract |
長崎県下五島の五島中央病院を受診中の分裂病者とその家族58組(離島部)、長崎市の長崎大学付属病院に外来受診中の分裂病者とその家族48組(都市部)が最終的な対象者となった。家族による「症状、社会的行動および社会的適応に関する調査」の解析結果は次のようなものであった。 1.臨床精神医学的に評価した両群の精神症状にかなりの差異が認められたにも関わらず、家族の評価した症状や社会的行動には両群間の差は殆ど認めなかった。 2.「社会的に期待された活動」に関する家族の評価した遂行度および期待度は、両群間に有意な差異はなかった。 3.「余暇時間の活動」に関する家族の評価した遂行度を見ると、離島部の家族は都市部の家族に比べ高い評価をしていた。 4.男性患者について検討すると、離島部の家族の「社会的に期待された活動」に関する期待度が高かった。一方、女性患者では、家族間には評価に差異はなかったが、離島部の患者自身の達成目標度が著しく低かった。 5.母親は父親に比較して、症状と社会的行動に関する評価は甘く、「社会的に期待された活動」への遂行度評価も高く、同時にそれに対する期待度も有意に高かった。 以上の諸点に見られた「家族の患者病態イメ-ジ」について、離島の風土や生活習慣および、社会制度と性別役割の点から分析を行い、家族を治療共同体として見なす際の接近方法と対応方法についても分析した。
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[Publications] 太田保之: "分裂病患者の家族が有する「患者の病態イメ-ジ」について その1.都市部・離島部にみる認知様式の比較を通して" The Japanese Journal of Psychiatry and Neirology.
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[Publications] 太田保之: "分裂病患者の家族が有する「患者の病態イメ-ジ」について その2.家族成員間にみる認知様式の比較を通して" The Japanese Journal of Psychiatry and Neirology.