1988 Fiscal Year Annual Research Report
覚醒剤中毒患者の尿中排泄βーフェニルエチラミンの測定とその臨床的意義
Project/Area Number |
63570513
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
山田 茂人 久留米大学, 医学部, 講師 (20158190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 哲之 国立肥前療養所, 所員 (90183483)
石橋 正彦 久留米大学, 医学部, 助手
高木 裕子 久留米大学, 医学部, 助手
横尾 秀康 久留米大学, 医学部, 助手 (00174847)
西 彰五郎 久留米大学, 医学部, 教授 (00080557)
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Keywords | メタンフェタミン中毒 / 尿中フェニルエチラミン / 尿中フェニル酢酸 |
Research Abstract |
Phenylethylamine(PEA)は、Phenylalanineが脱炭酸されて産生されmonoamine oxidase(MAO)でPhenylaoetate(PAA)に代謝される。この代謝過程にたいして化学構造が類似しているMethamphetamine(MAP)が多大な影響を及ぼし、MAPの薬理効果はPEA代謝の変化を介して起こるという仮説もみられる。このことから精神病状態を呈したMAP中毒患者のPEA代謝の変化を観察することは、その病態を知る上で意義のあることだと思われる。今回我々は、種々の精神症状を有するMAP中毒患者の入院時の尿中のMAP,PEA,PAAを測定し、PEA、PAA排泄に及ぼすMAPの影響と、変動について検討を加えた。覚醒剤中毒患者の尿を入院時に採尿し、-20℃で保存した。MAP、PEAは、GCーMSにて、PAAはgas chromatographyにて測定を行った。覚醒剤中毒患者には全員MAP排泄が認められその範囲は、0.2μgー30mg/g creatinineであった。PEA排泄は患者群で8.7±10.5μg/g creatinine(mean±S.D.,n=22)、健常者群で、22.4±11.2(mean±S.D.,n=15)であり患者群で有意な低下が認められた。 PAA排泄量はMAP排泄量と高い相関(R=0.81、p<0.01)が認められた。PAA排泄量について健常者群と比較した場合、患者群で平均値は高いものの有意差はなかった。また、PAAとPEA排泄量には、何等相関は認めなかった。PAAの産生はヒトで一日100mg以上であり、その大部分はphenylalanineが脱アミノされたPEAを経由せずに産生される経路が主だと言われているが、PEAを経口的に投与すると用量依存性にPAAの排泄は増加すると言われている。今回、MAP中毒患者の尿中排泄PAAとMAPに相関が認められ、PEA排泄が減少していたことは、MAPがPEAの産生と分解に多大な影響を及ぼしていることを示唆している。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 山田茂人,石橋正彦,三根芳明,猪口隆洋,横山敏登,西彰五郎,稲永和豊: 薬物・精神・行動(Jpn.J.Psychopharmacol). 8. 151-152 (1988)