1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63570515
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
森 眞由美 東京都老人総合研究所, 研究員 (50110698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田島 マサ子 帝京大学, ウィルス検査部, 主任
嶋田 裕之 東京都老人総合研究所, 研究員 (60113487)
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Keywords | 老年者 / パポバウィルス / JCウィルス / 痴呆 |
Research Abstract |
パポバウィルスの一種であるJCウィルスは、ヒト脳に感染し、免疫能低下状態で麻痺.痴呆などの神経症状を呈する進行性多巣性白質脳症を発症させる。一方、このウィルスは一度感染すると体内特に腎に存在しつづけるとも報告されている。我々は老年者における感染状況、脳への感染.感染と痴呆の関係に重点をおいて研究している。 1、感染状況。パポバ共通抗原(SV40-EIA)に対する抗体陽性率は30〜50歳代では20〜30%であるが、60歳以上で増加し、60歳代81%、70歳代95%、80歳代100%であった。しかもパポバウィルスの中でBKウィルスの高抗体価保有率は60歳以上で10%前後であり、JCウィルス高抗体保有率は40〜50%であった。高齢者ではJCウィルス保有例が高いことを示唆している。 2、脱髄が生前に診断できるか。進行性多巣性白質脳症の主な病理所見は脱髄である。10例の剖検時脳所見と生前の脳MRI所見を対比してみた。症例はアルツハイマ-型老年痴呆例である。病理的に脱髄を有する例の30〜40%にMRIの異常所見を認めた。特徴は境界不鮮明な像であるが、不一致例も多く、今後の検討が必要である。 3、JCウィルスの検索。少数のウィルスの存在を知るためポリメラ-ゼケニインリアクション(PCR)用のprimerを作製した。現在100例の剖検脳(生標本)と同症例の髄液を対象に、PCR法にて検索中である。 4、痴呆との関係。上記100例の臨床所見とウィルス検索の結果を照合し、関係の有無を検討している段階であり、まだ結論まで到達していない。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Mori.M.H.Shimada,H.Kurata: "JC virus dection in brain tissues from elderly patients by in situ hybridization" Annal Neurol.
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[Publications] 田島マサ子,武田史子,森眞由美,嶋田裕之: "高齢者におけるパポバウィルス(JCV,BKV)に対する抗体調査"
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[Publications] 田島マサ子: "脳組織におけるIn situ hybridization法によるpapova virus(JC)核酸の検索ー免疫組織化学染色法(ABC-GO)との併用" 臨床病理. 37. 78 (1989)
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[Publications] 大國治美,田島マサ子: "進行性多巣性白質脳症における髄液細胞内J.Cウィルス核酸と外被蛋白の検出" 医学のあゆみ. 150. 495-496 (1989)