1988 Fiscal Year Annual Research Report
摂食障害の条件情動反応と自己身体心象にともづく病態診断と治療について
Project/Area Number |
63570516
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Research Institution | Tokyo Institute of Psychiatry |
Principal Investigator |
中村 道彦 (財)東京都精神医学総合研究所, 精神生理, 副参事研究員 (30094436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 学 (財)東京都精神医学総合研究所, 社会病理, 副参事研究員 (40162200)
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Keywords | 摂食障害 / 病態診断 / 条件情動反応 / 自己身体像評価 / 事象関連電位 / 画像処理法 / 認知行動療法 |
Research Abstract |
近年急増する摂食障害の病態診断と治療法の開発のため、摂食や体型に条件づけられた情動反応が自己身体像の認知を障害して摂食異常を憎悪させる循環を生じるという仮説のもとに、今年度は健康な被験者を用いて条件情動反応と自己身体像の測定に関する方法を開発した。 1.20歳台前半(平均22歳)の健康女性10名から体型などの医学的情報と共に、条件情動反応に基づく事象関連電位と身体像評価を測定した。 2.現実体重(平均49.6kg)と理想体重の間には有意差を認めなかった。 3.条件情動反応について: (1)無意味語と非情動語に対する前頭部優位の陰性緩電位変動と、言語刺激に対する潜時400m秒の頭部部優位な陽性波(P400)が出現した。 (2)情動刺激に対しては、陽性(快)と陰性(不快)刺激の間で陰性緩電位に差はなかったが、P400潜時は陽性刺激で延長傾向を示した。 (3)カテゴリー別の情動刺激では、家族よりも食物に対して最大の陰性緩電位変動を示したが、P400にはカテゴリー間で差異はなかった。 (4)体型に関する刺激語では、肥満に対して陰性緩電位変動が殊に頭頂部で増大し、一方、やせに対してはP400が増大した。 以上の結果から、摂食や体型に対する情動反応が陰性緩電位変動とP400に反映され、条件情動反応の測定に応用しうる方法と考えられた。 4.自己身体像評価について: (1)対照図形よりも自己身体像に対して過大評価を示し、自己の体型には中立的対象とは異なる認知過程が存在すると推定された。 (2)対照図形よりも身体像に対する評価は分散しやすく、現実体型は過大評価に、理想体型は過小評価に分布する傾向を認めた。 以上の結果から、ビデオ画像処理装置を用いた身体像評価法で、自己の体型に関する認知過程の歪を測定することが可能であった。
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Research Products
(1 results)