1989 Fiscal Year Annual Research Report
摂食障害の条件情動反応と自己身体心象に基づく病態診断と治療について
Project/Area Number |
63570516
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
中村 道彦 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (30094436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 学 東京都精神医学総合研究所, 社会病理, 副参事研究員 (40162200)
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Keywords | 摂食障害 / 自己身体心象 / 条件情動反応 / CNV / 認知異常 / 病態診断 / 泊療 |
Research Abstract |
摂食障害患者の自己身体像評価と条件情動反応の関連を調べるために健康な若年女性18名とDSM-III-R診断による神経性無食欲症患者14名から以下の結果を得た。 1.健康群の平均年齢は21.8歳(標準偏差2.3歳)、平均身長は160cm(3.6cm)、平均体重は50.9kg(3.1kg)であった。一方、患者群では平均年齢23.8歳(3.9歳)、平均身長159cm(5.5cm)、平均体重45.2kg(9.7kg)で、体重は減少傾向(t=1.97,P<0.1)を示した。 2.自己身体像測定では、健康群の現実体型評価は7.1%(標準偏差5.3%)、理想体型評価は-4.9%(7.5%)、対照(Cola瓶)評価は2.1%(7.5%)であった。患者群では現実体型7.4%(10.8%)、理想体型-6.4%(16.4%)、対照9.0%(7.7%)であった。現実体型と理想体型の評価では健康群と患者群の間に有意差はなかったが、患者群では両標準偏差と対照評価の増大(t=2.42,P<0.05)を認め、患者群における対象形態の認知異常を示唆していた。 3.C_<2->CNV振幅を100msec毎の分画で比較したところ、健康群では無意味・体型・両親・食物・摂食に関する対の刺激語の間で有意差は見られず、体型で最小、摂食で最大のCNV振幅を示した。患者群では両親に関する刺激語間で顕著は差を認め、「母」でCNV振幅が増大した。この他、CNV潜時の遅れが体型(デブ)・食物(イモ)で見られた。また反応時間は刺激語の種類にかかわらず健康群よりも患者群で平均46.2msecほど短く、殊に体型と摂食に関する刺激語ではその差が大であった。従って、神経性無食欲症に関係する刺激語を用いたCNVパラダイムで形成される条件情動反応は患者群で増強する傾向を示し、殊に体型や両親に対する条件情動反応が重要と思われた。
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