1990 Fiscal Year Annual Research Report
摂食障害の条件情動反応と自己身体心象に基づく病態診断と治療について
Project/Area Number |
63570516
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
中村 道彦 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (30094436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 学 (財)東京都精神医学総合研究所, 研究員(副参事) (40162200)
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Keywords | 神経性無食欲症 / 自己身体像評価 / 事象関連電位 / CNV / P_<300> / 認知障害 / 条件情動反応 |
Research Abstract |
体形に条件づけられた情動反応が神経性無食欲症の病態に関わるとの仮説から、DSMーIII診断による女性患者14名および年齢を統制した健康女性18名から、歪写真法による自己身体像評価測定と摂食に関連した刺激語を用いた事象関連電位(CNV)を記録した。 1.自己身体像評価では現実体形と理想体形の評価、ならびに女性体形にに類似したコカコ-ラ瓶(対照像)の評価を行なわせた。患者群は健康群に比べ現実体形を肥大した傾向に、理想体形をやせた傾向に評価し、殊に現実体形の評価では両群間に有意差を認めた。さらに対照像でも患者群は有意に肥大した評価をしており、患者の認知異常は自己体形に限らないと思われた。 2.摂食関連刺激語に伴う事象関連電位では、患者群の陰性電位が健康群のものよりも増大する傾向を示した。刺激語の種類に関わらず対象者が不快と反応した事象関連電位では患者群のP300と後期CNVが健康群よりも増大し、刺激語の内容では患者群は体形(デブ)と両親(ハハ)で不快反応に類似した変化を示した。 3.身体像評価とCNVの関連を調べるために、患者群と健康群の自己身体像評価率に基づき、それぞれ過大評価群と過小評価群の2群に分けたところ、過大評価をした患者群と健康群の間には患者群のCNVが有意に増大したが、過小評価をした両群間には有意差を認めなかった。 以上の結果から神経性無食欲症患者は自己の体形を過大に評価してこれに対する強い条件情動反応が形成されていることが示唆された。なお平成2年度では神経性無食欲症の嫌悪条件づけ治療の効果を評価す予定であったが、研究代表者の勤務異動にともないその実施が困難となり、この目的を達成できなかった。
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Research Products
(1 results)