1988 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性神経障害の成因に関する研究--細胞骨格及び膜異常の検討
Project/Area Number |
63570517
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
八木橋 操六 弘前大学, 医学部, 講師 (40111231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
外崎 昭 山形大学, 医学部, 教授 (90004572)
馬場 正之 弘前大学, 医学部, 助教授 (90106849)
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Keywords | 糖尿病性神経障害 / 糖尿病ラット / 組織計測 / 軸索退縮 / 細胞骨格 / ポリオール代謝 / アルドース還元酵素抑制剤 |
Research Abstract |
糖尿病性神経障害の成因を探る目的から、ストレプトゾトシン糖尿病ラット、自然発症糖尿病BBラット及びNODマウスを用い、それらの末梢神経病変の成り立ちを形態計測を加え光顕・電顕的に検討してみた。また、これらの病変が生理学あるいは生化学的異常とどの様に関連しているのか、更には治療によりどの様な影響を受けるのかについても検討した。 いずれの糖尿病動物モデルにおいても、末梢神経病変の特徴は末端に強い軸索主体の病変であり、糖尿病の罹病がすすむにつれ、二次性の脱髄がみられた。軸索変化は、軸索退縮から変性・線維消失という過程をとるが、この過程において軸索径を維持する細胞骨格系、とくに神経細系の減少が軸索退縮と関連することが糖尿病ラット末梢神経でも証明された。この結果は、糖尿病ラットで軸索流、とくに神経細系を運ぶ遅い流れの遅延という生理学的研究結果と一致している。 ポリオール代謝と関連し、アルドース還元酵素抑制剤(ARI)を投与した実験では、糖尿病ラット末梢神経での大径有髄線維の径減少、軸索退縮を予防する効果がみられた。しかしながら、グリコーゲン蓄積、軸索小器官の異常、更に無髄神経については効果がみられなかった。私達のアルドース還元酵素分布についての免疫組織学的検索から、本酵素は末梢神経内有髄神経シュワン細胞に局在することが示されている。これらの結果から、ARIは糖尿病性神経障害のうち、とくに大径有髄神経の変性予防に間接的効果を示したものと推察される。同時に行った生化学的検討ではARIによりポリオール系の正常化がみられたものの、神経伝導速度の改善は顕著ではなかった。 糖尿病神経での細胞膜、とくにミエリン膜、軸索膜の異常についてはフリーズレプリカ法を用い現在検討中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 八木橋操六: ホルモンと臨床. 11. 1165-1170 (1988)
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[Publications] 八木橋操六: 糖尿病特集号. 163-166 (1989)
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[Publications] Soroku,Yagihashi et al.: In"Treatment of Diabetes".