1988 Fiscal Year Annual Research Report
プリン体生合成速度の律速段階酵素遺伝子の導入と発現に関する分子生物学的検討
Project/Area Number |
63570521
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
板倉 光夫 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (60134227)
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Keywords | 組換えDNA / 遺伝子 / プリン代謝 / 代謝調節 / 調節発現 / 糖質コルチコイド / プロモーター / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
プリン体のde novo生合成経路に特異的な最初の反応を触媒する酵素、anidophosphoribosyltransferarse(ATase)の遺伝子レベルにおける調節機序を検討した。大腸菌由来の遺伝子と培養液中の糖質コルチコイドの濃度により転写量を調節するMMTV(mouse mammary tumor virus)のプロモーターとの組換えDNAを作成し、この酵素活性を欠損する哺乳動物培養細胞(CHO ade-A)に導入し、外来酵素遺伝子の発現量を人為的に調節することを試みた。本研究により当該年度に以下の結果を得た。 1.大腸菌の遺伝子が哺乳動物細胞において糖質コルチコイド依存性に発現することを、発現した酵素活性の測定、抗ATase抗体を用いる酵素蛋白のWestern Analysis、mRNAの量を検討するNorthern analysisによって明らかにした。 2.律速酵素蛋白が発現し、細胞抽出液中に酵素活性が認められるにもかかわらず、酵素欠損による培養液中のプリン体依存性の生育能の形質は、プリン体非依存性の生育能の形質に転換しなかった。 3.遺伝子導入株では、発現した酵素蛋白の分子量が、遺伝子から予測される分子量である54kDaと比べて72kDaと大きくなることが認められた。 4.プリン体de novo生合成経路の律速酵素段階は、単なる酵素反応生成物の拡散によらず酵素複合体、翻訳後蛋白修飾などの代謝経路の精密な調節機構が存在することが示唆された。 以上の結果より、分子生物学的な方法による律速酵素遺伝子の人為的な発現調節により、プリン代謝を代表とする代謝経路の調節機序をin vivoの細胞レベルで直接的に証明することが可能であることを明らかにした。また遺伝子の転写量を調節することが可能なプロモーターを用いて外来遺伝子の発現を人為的に調節することが可能であることから、外来遺伝子の導入による遺伝子疾患の治療の実現可能性が強く示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Itakura,M.;Maeda,N.;Tsuchiya,M.;Yamashita,K.: Am.J. Physiol.253(6). E684-690 (1988)
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[Publications] Itakura,M.;Yamaoka,T.;Yoshikawa,H.;Yamashita,K.: Proceedings of satellite symposium on"Glucagon and related peptides"in the 8th International Congress of Endocrinology.
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[Publications] Itakura,M.;Yamaoka,T.;Yoshikawa,H.;Yamashita,K.;Sabina,R;Zalkin,H.;Holmes E.W.: Purine and Pyrimidine Metabolism in Man VI:.
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[Publications] Yoshikawa,H.;Sato,M.;Yamaoka,T.;Itakura,M.;Yamashita,K.: Purine and Pyrimidine Metabolism in Man VI:.
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[Publications] Yamaoka,T.;Kagita,F.;Yoshikawa,H.;Itakura,M.;Yamashita, K.: Purine and Pyrimidine Metabolism in Man VI:.
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[Publications] Itakura, M.;Yamaoka,T.;Yoshikawa,H.;Yamashita,K.: Purine and Pyrimidine Metabolism in Man VI:.