1989 Fiscal Year Annual Research Report
老化に伴う内分泌細胞での情報伝達系の障害に関する研究-膵B細胞をモデルとして-
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63570531
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
相澤 徹 信州大学, 医学部, 講師 (90150896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高須 信行 信州大学, 医学部, 助教授 (20020927)
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Keywords | 労化 / 膵B細胞 / インスリン / GTP結合淡白 / カルシウムチャンネル / 細胞内カルシウム濃度 |
Research Abstract |
我々はまず膵B細胞からのインスリン分泌が加令に伴って遅延すること、この遅延はグルコ-ス刺激時の第一相分泌に選択的であること、この分泌反応の遅延はグルコ-スによる細胞内カルシウムの上昇という情報伝達のステップよりdistalに原因のあること、などを明らかにした。更に膵B細胞のインスリン分泌にかかわる情報伝達機構の中で下記の3点を明らかにした。1.ハチ毒の一種であるマストパランを用いてB細胞でのGTP結合淡白の活性化は強力にインスリン分泌を刺激すること、2.B細胞の細胞内カルシウム濃度を調節しているカルシウムチャンネルに薬理学的に2種類の異なったものが存在すること、3.グルコロ-ス刺激時に2相性のインスリン分泌が生ずるのは細胞内カルシウム濃度が2相性に変動するためではなく、他の分泌調節メカニズムを考える必要のあること、の3点である。ひきつづいて、サイクリックAMP依存性の分泌をフォルスコリンで、プロティンキナ-ゼCによる分泌をTPAで、脱分極による分泌を高濃度KClでそれぞれ刺激した際のインスリン分泌を比較し、一方カルシウムチャネルの性質をジヒドロピリジンカルシウムチャネル阻害剤に対する感受性という観点から分析した実験結果から以下の結論を得た。高令な動物の内分泌細胞の情報伝達系ではサイクリックAMPに依存したステップに障害があり,カルシウムチャネルには質的変化が生じている。一方、GTP結合淡白の活性化に依存した経路にも軽度障害があるが、プロティンキナ-ゼCに依存したステップは若年動物の内分泌細胞と差がない。こうした複雑な細胞内情報伝達機構の障害がホルモン分泌という細胞の機能の劣化-分泌反応の遅延及び分泌反応の低下-に結びついている可能性が大きい。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Komatsu,M.: "Glucose raises cytosolic free calcium in the rat pancreatic islets." Hormone and Metabolic Research. 21. 405-409 (1989)
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[Publications] Yokokawa,N.: "Mastoparan,a wasp venom,stimulates insulin release by pancreaticislets through pertussis toxin-sentitive GTP-binding protein." Biochemical and Biophysical Research Communications. 158. 712-716 (1989)
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[Publications] Komatsu,M.: "Pharmacological characterization of the voltage-dependent calcium channel of pancreatic B-cell." Endocrinology. 125. 2008-2014 (1989)
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[Publications] Komatsu,M.: "Gradual delay in glucose-induced first phase insulin secretion by the pancreatic islets of 7 w-,6 mo- and 1 y-old rats." Jounal of Gerontology. (1990)