1988 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト甲状腺細胞における癌遺伝子産物p21^<ras>の機能に関する研究
Project/Area Number |
63570545
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
阿部 好文 北里大学, 医学部, 講師 (30124928)
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Keywords | 甲状腺癌 / 癌遺伝子 / トランスメンブレンコントロール |
Research Abstract |
1.ras癌遺伝子p21の測定法の検討 バセドウ病手術時に得られたヒト甲状腺組織より、細胞膜分画、核分画、ミクロゾーム分画を調製し、SDS-PAGEした後、ニトロセルロース膜に転写し、N-ras産物p21に特異的なモノクロナール抗体(NCC-RAS-004)を反応させ、PAP法にて発色させた。甲状腺細胞においては、細胞膜においてのみM.W.21,000の部位に明瞭なバンドを認め、ヒト甲状腺においても、ras癌遺伝子産物p21が細胞膜に存在することが明らかになった。さらに細胞膜の濃度を変化させて検討した結果、この方法で細胞膜のp21が半定量的に測定できることが確認された。 2.種々の甲状腺組織におけるp21の測定 種々の甲状腺腫瘍におけるp21の量を、手術時に得られるヒト甲状腺組織の一部を利用して測定をした。その結果あらゆる甲状腺組織において、p21の存在が認められたが、甲状腺乳頭腺癌において、6例のうち4例でp21の量が、同一患者の周囲正常組織のp21の量より増加していた。未分化癌、腺腫、腺腫様甲状腺腫におけるp21の増加は著明ではなかった。 3.ras癌遺伝子mRNAの測定 手術により得られたヒト甲状腺組織よりただちにRNAを抽出して、poly(A)RNAを分離し、N-rasのcDNAをプローブとして、Northern法にてrasのmRNA量を測定した。その結果、ヒト甲状腺癌においては細胞膜のp21量とrasのmRNAの発現量は平行し、甲状腺癌においては分化癌でras癌遺伝子の発現が高まっている可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 阿部好文: 日本臨床代謝学会記録. 25. 160-161 (1988)
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[Publications] 阿部好文: 臨床病理. 36. 1358-1363 (1988)
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[Publications] 阿部好文: Modern Physician. 8. 1758-1763 (1988)
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[Publications] Akira Kanamori: The Journal of Clinical Endocrinology and Medatolism. 68. (1989)