1989 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子工学的手法による抗TSH受容体抗体の多様性に関する研究
Project/Area Number |
63570546
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
市川 陽一 慶応義塾大学, 医学部・内科, 講師 (30051402)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤真 秀人 慶応大学, 医学部・内科, 助手 (10202524)
|
Keywords | バセドウ病 / 特発性粘液水腫 / TSH受容体 / 抗TSH受容体抗体 / 遺伝子工学 |
Research Abstract |
甲状腺機能亢進症を来すバセドウ病および甲状腺機能低下症を来す特発性粘液水腫の病因として、共に抗TSH受容体抗体の関与が考えられている。すなわち、同じ抗TSH受容体抗体であってもTSH受容体分子上のエピト-プの差によって正反対の病態を呈すると考えられる。この点を解明するため、TSH受容体の構造を解明することを目的とした。 前年度の研究で、ヒト甲状腺組織より作成したcDNAライブラリ-より、抗TSH受容体モノクロ-ナル抗体、バセドウ病患者血清、特発性粘液水腫患者血清と反応する融合蛋白を産生するλgt11バクテリオフア-ジに組込まれたcDNAクロ-ンを8つ得ることが出来た。 本年度はTSH受容体cDNAを有する各ファ-ジクロ-ンを大腸菌(Y1089)に感染させ、大腸菌DNAにファ-ジDNAを組込んだライソゲンを作成、これを利用してTSH受容体cDNAを採取、精製した。すなわち、CsCl密度勾配法によってファ-ジを採取し、DNAを精製後、EcoRI制限酵素によって切断し、挿入DNAをアガロ-スゲルで精製する。これらのcDNAをM13ファ-ジに組込みdideoxy法によって、塩基配列を決定した。また、これらのcDNAをP^<32>で標識し、これをプロ-ブとして、ファ-ジ組込みcDNAライブラリ-よりハイブリダイゼ-ションによって他のTSH受容体cDNAクロ-ンを採取し、同様に塩基配列決定に用いた。現在迄に一部の塩基配列を知ることが出来たが、今後全塩基配列を解明すべく努力中である。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] 市川陽一,吉田正: "レセプタ-・レセプタ-後シグナル伝達系異常症:TSH不応症" 日本臨床. 47(増刊). 1027-1032 (1989)
-
[Publications] 市川陽一,松下庸次: "作用物質別レセプタ-論:TSH" 日本臨床. 47(増刊). 197-200 (1989)
-
[Publications] 市川陽一: "甲状腺刺激ホルモンレセプタ-の構造-分子生物学的手法によるTSHレセプタ-の構造解明" 医学のあゆみ. 150. 774-774 (1989)
-
[Publications] 市川陽一,吉田正: "TSH受容体の構造" ホルモンと臨床. 37. 901-909 (1989)
-
[Publications] 吉田正,市川陽一: "cDNAクロ-ニングによるTSHレセプタ-の構造解析" ホルモンと臨床. 37(増刊). 59-68 (1989)
-
[Publications] 松下庸次,市川陽一: "遺伝子工学的手法によるTSH受容体の構造分析の試み" ホルモンと臨床. 37(増刊). 99-104 (1989)
-
[Publications] 市川陽一: "甲状腺疾患、TSH受容体" 南江堂, 300 (1989)