1988 Fiscal Year Annual Research Report
血小板活性化時の膜融合機序に関与するCキナーゼの解明
Project/Area Number |
63570565
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田辺 章 東京大学, 医学部, 助手 (70111531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米山 彰子 東京大学, 医学部, 医員
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Keywords | 血小板 / C-キナーゼ / 膜融合 |
Research Abstract |
目的:血栓形成時の血小板活性化には,膜融合とC-キナーゼの活性化が関与していると考えられる。その機序を解明するために,(1)C-キナーゼがCa^<2+>依存性蛋白分解酸素(CANP)を直接に活性化しているのか,(2)膜融合はC-キナーゼ依存性か,CANPによるものか,の2点を中心として検討した。 方法と結果:(1)C-キナーゼ活性化剤として,Taleocidin,OAG,TPAを用いて血小板内Ca^<2+>を測定した。その結果,Ca^<2+>の上昇は,Furd-2法では検出できなかったが,エコーリン法を用いることにより検出できた。したがって,C-キナーゼ活性化剤によるCa^<2+>動員が検出されたために,CANPが活性化される可能性が示された。さらに電顕的に,C-キナーゼ活性化剤の血小板に対する作用を検討すると膜融合の所見を認めた。 (2)セロトニン放出反応は,膜融合を伴った血小板活性化である。C-キナーゼ活性化剤は先に示したように,電顕的に膜融合を示すが,このC-キナーゼ活性化剤によるセロトニン放出反応にCANP阻害剤であるE・64,leupeptinを作用させると,放出反応は抑制された。これはC-キナーゼ活性化剤によるCANPの活性化が,CANP阻害剤により抑制され,このため放出反応が抑制されたと推定される。以上から(1)C-キナーゼを用いた実験で,血小板活性化時に膜融合が起きていることが電顕的に証明された。(2)C-キナーゼ活性化剤による膜のCa^<2+>動員は,エコーリン法で検出できるが,Furd-2法では測定できない。(3)CANP阻害剤を用いた実験から,C-キナーゼ活性化剤による血小板活性化時の膜融合にはCANPが関与していることを示唆する知見を得た。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Tanabe Akira: Thrombosis and Haemostasis. 62. inprint (1989)
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[Publications] Chang Shao-tai: Thrombosis and Haemostasis. 62. inprint (1989)
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[Publications] 尾崎由基男: 日本血液学会雑誌. 51. 452 (1988)
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[Publications] 苅家利承: 血液と脈管. 19. 347-350 (1988)
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[Publications] 苅家利承: 血液と脈管. 19. 443 (1988)
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[Publications] 松本由紀: 血液と脈管. 19. 431 (1988)
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[Publications] 田部章: "「岡教授退官記念論文集」,ペプチドホルモンTSHの作用機序に関する研究-細胞膜へのC-キナーゼの移行とCキナーゼによる膜蛋白質の燐酸化" 中山書店, inprint (1989)
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[Publications] 田辺章: "「内科診断検査アクセス」-血栓性血小板減少性紫斑病-" 宮本昭正,日本医事新報社出版局, inprint (1989)