1988 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内分化抗原を同定することによるリンパ系白血病細胞の新分類に関する研究
Project/Area Number |
63570566
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大川 洋二 東京医科歯科大学, 小児科, 助手 (90160431)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 秀二 東京医科歯科大学, 小児科, 助手 (20201593)
|
Keywords | T細胞抗原 / B細胞抗原 / 骨髄球系分化抗原 / T細胞レセプター / B細胞レセプター / 細胞内分化抗原 / 遺伝子 |
Research Abstract |
私達は100症例のペルオキシダーゼ反応陰性白血病に関してその表面抗原-T細胞抗原としてCD1、CD2、CD3、CD4、CD5、CD6、CD7、CD8、B細胞抗原としてはCD10、CD19、CD20、CD21、免疫グロブリン、骨髄球系としてはCD13、CD14、CD33、-の検索を行なった。又同時にCD3及び、免疫グロブリンμ鎖の細胞質内での同定を行なった。又本年度では一部の症例について、T細胞レセプタ-β鎖遺伝子の再構成及び免疫グロブリンH鎖の遺伝子の再構成を調べた。表面抗原からの分類では4つの群に分類できた。 1.リンパ球系の分化抗原を細胞表面及び細胞質内にもたず、細胞表面に骨髄球系の分化抗原をもつもの。これらは4症例あり、遺伝子の解析では、T細胞レセプター及び免疫グロブリン遺伝子レセプターとも胚芽型であった。2.HLA-DRのみ表面にも他の分化抗原が細胞表面、細胞質内ともに存在しないもの。これらは分類不能型と考えられる。遺伝子では胚芽型であった。3.なんらかのT細胞抗原をもつものは19例あり、汎T抗原だけもつものは2症例で、うち一例がT細胞レセプター遺伝子は再構成されていた。汎T細胞以外にCD1、CD4、CD8等をもちCD3陰性のものは11症例あった。これらのうち細胞内CD3は10症例にみられ、T細胞遺伝子は11症例にみられている。表面CD3陽性の成熟型は6例あった。4.B細胞系の分化抗原をもつものは75症例あった。このうちCD19をもち細胞内外に免疫グロブリンをもたないものは47症例あり、調べた限りでは免疫グロブリンH鎖は再構成がみられていた。細胞内μ鎖陽性は16症例、表面免疫グロブリン陽性例12症例であった。従ってペルオキシダーゼ陰性白血病は、1分類不能型、2非リンパ球型、3リンパ球型に分けられ、リンパ球型はさらにT細胞型-T細胞系、プレT細胞型、T細胞型、B細胞型-B細胞系、プレB細胞、B細胞型と分けられ簡略化が期待される。さらに今後症例を増やし検討したい。
|
-
[Publications] 大川洋二: シスメックスジャーナル. 11. 7-19 (1988)
-
[Publications] 大川洋二: 小児医学. 21. 41-65 (1988)
-
[Publications] 高瀬浩造: Leukemia Research. 12. 583-590 (1988)