1988 Fiscal Year Annual Research Report
中性脂肪型エイコサペンタエン酸の点滴静注による実験的血栓症の治療
Project/Area Number |
63570568
|
Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
浜崎 智仁 富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (70167592)
|
Keywords | エイコサペンタエン酸 / ロイコトリエンB / 白血球 / 血小板凝集能 |
Research Abstract |
体重約3kgのウサギに、エイコサペンタエン酸 (EPA) 乳剤 (trieicosapentaenoyl-glyceride、10%;卵黄リン脂質1.2%;グリセリン2.5%) 30mlを静注した。静注前と静注24時間後に耳動脈より15ml採血し、白血球を分離した。この白血球をカルシウムイオノフォアで刺激し、産生されるロイコトリエン (LT) Bをミニカラムで精製し、高速液体クロマトグラフィーで分析した。また白血球中のリン脂質の脂肪酸構成もガスクロマトグラフィーで測定した。別のウサギを用いて、同様の点滴を行い、血小板の凝集能も測定した。 その結果、白血球でアラキドン酸から産生されるLTB_4は、点滴の前後での変化に一定の傾向がみられなかったが、EPAから産生されるLTB_5は点滴前にはほとんど検出されなかったものが、点滴後では白血球10^7個あたり22〜92ngの産生が見られた。これらの変化は白血球リン脂質中で、アラキドン酸には大きな変化がみらさなかったが(点滴前4.8%、後5.1%)EPAでは20倍以上に増加した。(前0.1%、後2.7%)ことと一致している。血小板凝集能には点滴前後で差はみられなかった。 LTB_4産生に有意な変化がみられなかったのは白血球中のアラキドン酸量がほとんど変化しなかったためと思われる。こさはEPAの純度が100%でなく、90%であり。アラキドン酸が4%前後含まれていることに関係があると思われる。LTB_5はLTB_4の約┣1(/)30┫の活性したないためLTB_5の産生増加はLTBレセプターにおいてLTB_4と競合し、全体的なLTB活性を低下させる可能性がある。したがってこの点滴剤はLTB活性を急速に低下させる作用があり、将来臨床で応用できるかもしれない。ただし、血小板に対する影響は一日では出現しないため、この乳剤の短期間投与による血栓症の予防は無理かもしれない。
|