1988 Fiscal Year Annual Research Report
いわゆる系統逸脱白血病の起源機能および病態に関する研究
Project/Area Number |
63570570
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
北 堅吉 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (90169847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 敏之 三重大学, 医学部附属病院, 助手 (50194246)
片山 直之 三重大学, 医学部, 助手 (20185812)
白川 茂 三重大学, 医学部, 教授 (20026850)
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Keywords | 系統逸脱白血病 / 表現型 / 遺伝子型 / 血液細胞分化 / 免疫グロブリン遺伝子 / T細胞受容体遺伝子 / 細胞分化増殖因子 |
Research Abstract |
本研究は多系統の形質を同時に保持するいわゆる系統逸脱白血病出現の機序を、分子生物学的、免疫細胞学的に解明することを目的とし遂行された。これらの白血病の表現型、免疫関連遺伝子型、各細胞増殖分化因子に対する反応性などの性格は多岐にわたり、その程度は様々であったが、以下の2群に大別された。1;多潜能幹細胞由来が強く示唆される白血病で、表現型ー遺伝子型(特に骨髄球系抗原ー再構成免疫関連遺伝子型)不一致を示す例が多い。この白血病には骨髄細胞系増殖因子に反応し、骨髄球系への分化傾向も認められた。ph1やt(4;11)染色体異常の高頻度の存在、臨床経過中での白血病細胞の形質転換、治療抵抗性等多潜能幹細胞由来を示唆する所見が多く、多系統形質の発現、保持は腫瘍化標的細胞の分化能(遺伝子再構成を含む)表現と理解された。2;特定の系統へ分化した細胞が腫瘍化標的細胞とみなされる白血病で、主としてB前駆細胞性白血病のIg及びTcR両遺伝子再構成例に認められ、表現型ー遺伝子型不一致の程度は低い。IgH鎖V、D、J領域遺伝子の対立遺伝子レベルの検討では、両対立遺伝子共にVーDーJ構造を示しており、有効なIg産生へ向けての活発なVーDーJ、VーVーDJ再構成が行われた細胞に由来したと考えられた。TcR遺伝子は、そのような活発なIgH遺伝子再構成の過程で、Ig及びTcR遺伝子再構成に関与するcommon recombinase活性の高まりにより二次的に再構成されたと考えられる。これらの白血病は臨床経過中形質転換する例は稀れで、抗リンパ球系化学療法に反応する例が多い。両群の白血病とも染色体相互転座を示す例が存在したが、その異常が白血病細胞の血球分化形質発現に直接係っていたとの証在は認められなかった。このように本研究により、系統逸脱白血病の形質自体には腫瘍化に伴う若干の増幅はあるものの、その出現には各正常血球分化段階に対応する複数の機序が深く関与していることが明らかとなった。
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