1988 Fiscal Year Annual Research Report
抗血小板抗体による血小板のコラーゲン受容体に関する研究
Project/Area Number |
63570571
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大熊 稔 京都大学, 医学部, 助教授 (50026986)
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Keywords | 血小板 / 抗血小板抗体 / コラーゲン受容体 / 巨核芽球cell line / CMK / イムノブロット法 |
Research Abstract |
特発性血小板減少性紫斑病患者から得たヒト血小板上のコラーゲン受容体を認識する抗体を用いて研究計画(1、2、3)を実施し、以下の成績を得ている。 1.対応抗原の検討。正常人の洗滌血小板を1%Triton X-100で可溶化し、Laemmli変法でSDS-PAGEを行った後ニトロセルロース膜に蛋白を転写しこれに患者抗体を反応させた後biotin-avidin系を用いて検討したところ抗体は分子量62kDa(還元;非還元では57kDa)の血小板蛋白(P62)を認識することが明らかとなった。次に不溶性のコラーゲン(I型)を、可溶化した血小板と反応させてから充分洗滌した後、コラーゲンに結合した蛋白を1%SDSで溶出し、上記のイムノブロット法で検討したところ62kDa(還元)の血小板蛋白が検出された。したがって抗体はP62(分子量62kDaの血小板蛋白)を認識し、この蛋白はコラーゲンを結合することが示された。今後はP62(コラーゲン受容体)の分離・精製をすすめたい。 2.種族特異性。抗体はウサギ血小板をも凝集したことから、ヒトとウサギに共通した抗原を認識すると考えられ、さらに他種動物についても検討を重ねたい。 3.巨核球系細胞のコラーゲン受容体発現に関する検討。ヒト巨核芽球Cell line CMKを用いて間接蛍光抗体法により本抗体の反応を検討したところ、約60%の細胞に抗原の発現が認められた。さらにTPA刺激によるCMKの巨核球への分化誘導により、その発現率は約80%に増加したことから血小板の母細胞においてもコラーゲン受容体の発現が示唆された。今後はこの抗原蛋白について血小板のそれと比較検討を行いたい。
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[Publications] 大熊稔: 日本血液学会雑誌. 51. 1277-1281 (1988)
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[Publications] 諸井將明: 血液と脈管. 19. 441 (1988)
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[Publications] 杉山建生: "血小板1988ー血小板と免疫" 科学評論社, 82-99 (1988)