1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63570573
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
重清 俊雄 徳島大学, 医学部附属病院, 講師 (50162582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉本 勝彦 徳島大学, 医学部附属病院, 助手 (90201863)
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Keywords | プロテインS / 血栓症 |
Research Abstract |
我々は先天性プロテインS異常症の1家系を発見し、発端者および家系員の検索を行い本症の臨床像と遺伝型を明らかにした。〈方法〉検索対象:1家系7例、血漿プロテインSの抗原量測定:Laurell法、血漿プロテインSの活性値測定:Kamiyaらの方法・〈結果〉発端者(Y.K.)は、37歳女性で、両親に近親婚はなく、28歳時上矢状静脈洞血栓症、35歳時妊娠中に左下肢血栓性静脈炎と隋帯静脈血栓症に罹患。血小板5.5万、出血時間1分、プロトロンビン時間12.2秒、カオリン活性化部分トロンボプラスチン時間38.0秒、フィブリノゲン184mg/dl,、FDP5μg/ml以下、アンチトロンビンIII106%、プロテインC91%、ヘパリン・コファクターII190%とほぼ正常であったが、プロテインS活性値31%(正常44-166)、遊離型プロテインS抗原量65%(正常40-130)と、プロテインSの活性値が低下し、しかも、抗原量と解離がみられた。家系員の検索では、父親(K.W.)はプロテイン活性値75%、プロテインS抗原量120%と正常であったが、母親(S.W.)はプロテインS活性値33%、プロテインS抗原量110%、姉(Y.K.)はプロテインS活性値42%、プロテインS抗原量90%、弟(A.W.)はプロテインS活性値46%、プロテインS抗原量120%、弟(J.W.)はプロテインS活性値活性値55%、プロテインS抗原量120%、弟(S.W.)はプロテインS活性値42%、プロテインS抗原量125%であった。なお、母親と叔母の1人(未検査)には両下肢の血栓性静脈炎がみられた。〈考察と結論〉本家系は先天性プロテインS異常症の本邦初の家系である。発端者を含む6人の減少例はいずれもそのheterozygoteと推定され、そのうちの2人で静脈血栓症がみられた。したがって、本症の遺伝型は常染色体優性と考えられた。現在、発端者血漿から純化したプロテインSの性状の検討を行なっている。
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