1988 Fiscal Year Annual Research Report
急速凍結電顕法による血小板活性化に伴う構造変化と機能発現との関係の解明
Project/Area Number |
63570581
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
山崎 博男 東京都臨床医学総合研究所, 副所長 (50013826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
月田 承一郎 東京都臨床医学総合研究所, 超微形態研究部, 研究室長 (50155347)
鈴木 英紀 東京都臨床医学総合研究所, 循環器病研究部, 研究員 (30158977)
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Keywords | 血小板 / 急速凍結置換法 / a顆粒 / 細胞骨格 / 微小管 / マイクロフィラメント / Triton X-100 / 裏打ち構造 |
Research Abstract |
主として無刺激血小板を対象に、急速凍結置換法とdetergent処理の基礎的検討をを行なった。急速凍結置換法の試料は、無刺激の洗浄血小板浮遊液を遠心し、ペレットをかき取り、凍結装置の試料台に載せた後、凍結、置換、包理して作製した。この超薄切片を電子染色後、電顕で観察すると、血小板は偽足を出しつつやや球状に変形していたが、微細構造の保存は優れていた。すなわち、通常の化学固定法による血小板試料と比較すると、微小管・マイクロフィラメントなどの細胞骨格は、細胞質中に明瞭に観察された。また、a顆粒は化学固定法において、電子密度の高い部と低部だけした観察されないが、凍結法によるa顆粒には電子密度の異なる三領域が存在することが明らかになった。さらに、電子密度の最も明るい部には、直径約20nmの管状構造が観察された。このように、急速凍結置換法による電顕像は、通常の化学固定によるものよりも優れていることが明らかになった。一方、detergent処理による試料作製は、無刺激血小板浮遊液にTriton X-100を含むグルタルアルデヒドを加え、TritonX-100可溶性物質の可溶化と固定を同時に行なう方法を採用した。その後、オスミウム酸後固定、酢酸ウラニルによるブロック染色、脱水、包理して試料を得た。この方法では微小管、マイクロフィラメントなどの細胞骨格だけが観察され、顆粒、ミトコンドリアなどの小器官は溶出していた。この試料で注目すべきことは、一部の細胞膜が溶けないで残っていることであり、その冷房膜の直下にはマイクロフィラメントから成る裏打ち構造が明瞭に観察された。また、細胞膜上には無定形な物質が見られ、これには必ず細胞膜の裏打ち構造が結合していた。これまで血小板において細胞膜、細胞膜上物質および細胞裏打ち構造との三しゃ関連についての形態学的所見は報告されておらず、我々の観察結果が最初と思われる。
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[Publications] Suzuki,H.,;Yamazaki,H.,,et al.: Blood. 71. 1310-1320 (1988)
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[Publications] Suzuki,H.,;Yamazaki,H.,,et al.: Blood.
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[Publications] Suzuki,H.,;Tanoue,K.;Yamazaki H.: Thrombosis and Haemostasis.
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[Publications] 鈴木英紀、山崎博男: "講座プロスタグランジン 2.心・血管と血小板" 血小板の構造と機能 化学同人, 81-94 (1989)