1988 Fiscal Year Annual Research Report
造血微小環境を構成する構造高分子の同定、局在及び造血における役割に関する研究
Project/Area Number |
63570582
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
岡山 実 国立病院医療センター(国立名古屋病院併任), 臨床研究部 (90158816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小栗 佳代子 国立名古屋病院, 臨床研究部, 研究員 (10158826)
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Keywords | 造血微小環境Hemopoietic Inductive Microenvironment(HIM) / プロテオグリカンProteoglycan / フィブロネクチンFibronectin / ラミニンLaminin |
Research Abstract |
我々は造血の恒常性維持に重要な役割を果していると考えられている造血微小環境の実在性を示すと共にその構成成分であるプロテオグリカン(PG)の生化学的特質を明らかにしてきた。以下に本年度の研究で得られた結果を示す。 1.骨髄間質型PGの加令に伴う質的・量的変化:当初この研究はウサギ骨髄を用いて行う予定であったが年令のハッキリとした老令化ウサギを入手しがたく、生年月日の明らなものを現在飼育中である。これに代えて培検時に得られたヒト骨髄を用いて実験を行った。その結果は、動物種によらず骨髄間質に特異的に存在するコンドロイチン6-硫酸(C6S)の骨髄乾燥重量当りの含量は減少する傾向を示した。それと対象的に骨髄芽球リソゾームの含む細胞性PGの糖側鎖であるC4S含量は加令に伴い増加の傾向を示した。 2.a.骨髄細胞が培養下で合成するPGの同定とそのうちで間質型PGの占める割合の決定:〔^<35>S〕-硫酸を合成前駆体として用いPGへの取り込みが直線性を示す点でその割合を決定した。その結果は、間質型C6SPG/細胞性C4SPG/細胞性ヘパラン硫酸HSPG〓80/10/10であった。この値は、ウサギ腹腔にそのアイソトープを注射し生体標識後骨髄を採取し分析した結果とほぼ同じであった。 2.b.間質型PGの蛋白芯部分をコードするDNA断片の有機合成:骨髄間質PGの蛋白芯とYolk sae tumor PGの蛋白芯アミノ酸組成が酷似していることにもとづき、Bourdonら〔Proc.Natl.Acad.Sci.82,1321(1985)〕の報告した塩基配列をもつDNA断片を有機合成した。現在それを用いてin situ hybridizationの実験準備を進めている。 3.骨髄間質に存在する細胞接着分子、フィブロネクチン、ラミニンの細胞結合ドメインの有機合成:フィブロソクチンの細胞結合ドメインArg-Gly-Asp-Ser及びラミニンのそれTyr-Ile-Gly-Ser-Argの有機合成を終り、造血前駆細胞の種々の基質に対する細胞接着阻害実験の準備を進めている。
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[Publications] Eiko Okayama,;Kayoko Oguri,;Toshihiko Kondo,;Minoru Okayama.: Blood. 72. 745-755 (1988)
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[Publications] H.Yonekura,;K.Oguri,;K.Itoh,;K.Tnabe,;N.Takahashi,;Y.Nakanishi,;M.Okayama.: J.Biochem.104. 648-657 (1988)
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[Publications] H.Yonekura,;K.Oguri,;K.Itoh,;Y.Nakanishi,;M.Okayama.: J.Biochem.104. 658-666 (1988)