1988 Fiscal Year Annual Research Report
肝移植における肝障害発生機序の解明と新しい肝viability判定法 の検討 (温阻血、保存ならびに血流再開時の肝障害のメカニズムの解析と極微弱発光 測定法の検討)
Project/Area Number |
63570586
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 崇 東北大学, 医学部, 講師 (00124579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大河内 信弘 東北大学, 医学部附属病院, 助手
里見 進 東北大学, 医学部附属 病院, 講師 (00154120)
千葉 敏雄 東北大学, 医学部附属 病院, 助手 (20171944)
田口 喜雄 東北大学, 医学部, 助教授 (70004885)
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Keywords | 肝viability / Primay graft failure / 肝ミ トコンドリア機能 / 呼吸調節率 (RCR) / 肝類洞内皮障害 / 極微弱発光 (CL) |
Research Abstract |
肝移植における移植前ドナー肝のviabilityの評価ならびに肝 移植早期に出現する、いわゆるprimary graft failureの発生 機序の解明のため研究を行ない、以下の成果を得た。 1) 移植肝障害発生機序を生化学的、組織学的に検討を行なった結果、ミトコン ドリア機能を指標した生化学的検索では、一般的な保存方法のもとでは12時間まで 機能が保たれており、組織学的にも肝細胞内小器官の構造やミトコンドリアの計測上 の値も同じ12時間までは変化がなかった。これに対し、肝類洞内皮細胞は、12時 間ではsecondary lysosomeを生じ、師板構造は乱れてporeが 強く変化しており、ディッセ腔の開大にともなってsinusoidが狭小化してく る所見が得られ、この状態で移植するとディッセ腔に血球成分がトラップされる所見 が得られた。この結果は、肝実質細胞は12時間ではよく保存されているが、血管内 皮障害を主とする血管系がこの時間ではすでに障害されており、移植後血流再開と同 時に急速に循環障害におちいるという一連の変化であり、primay graft failure発生の本体であろうとの重大な結果と考えられる。現在、血管内皮 障害を軽減する保存方法の開発に着手している。 2) 移植肝viabilityの評価についてi) 呼吸調節率 (RCR) の検討 ii) 極微弱発生測定のそれぞれ異なった方法により興味ある結果を得た。とくに前 者は移植前の肝組織での結果が、移植成績と非常に良く相関することから実際の臨床 前の肝組織での結果が、移植成績と非常に良く相関することから実際の臨床に即、応 用可能であり、viability検索の重要な手段となり得る。後者は、保存肝、 温阻血肝をホモジェネイトレ、多分画における活性酵素による脂質過酸化の状態を極 微弱発生測定より検討している。いづれも障害肝では高値を示めすが、種々の条件制 定により大きく左右されることから、更に検討を行ない精度の向上をはかる。
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