1988 Fiscal Year Annual Research Report
胸部下行大動脈瘤手術における脊髄虚血予防に関する研究
Project/Area Number |
63570593
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
井隼 彰夫 福井医科大学, 医学部, 助手 (70142841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森岡 浩一 福井医科大学, 医学部, 助手 (80210144)
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Keywords | 胸部下行大動脈瘤 / 対麻痺 / 脊髄誘発電位 / ESP |
Research Abstract |
近年、社会の高齢化に伴い胸部大動脈瘤手術症例が増加してきているが、手術に必要な大動脈遮断に伴う重篤な合併症として脊髄虚血に伴う対麻痺の発生がある。対麻痺は、いったん発生すると、その回復は極めて困難でありquality of lifeも低下するため、未然にその発生を予防することが大切である。今回、我々は脊髄誘発電位(evoked spinal cord Potential,ESP)に注目し、脊髄虚血モニターとしての有効性を検討するため、以下の予備実験を行った。 1.対象と方法 雑種成犬5頭を用い、Thiopental Sodium麻酔下に気管内挿管を行い、レスピレーターに接続して調節呼吸を行った。腹臥位として椎弓切除及び左開胸(第4肋間)を施行した。椎弓切除部で硬膜を一部露出し、第1腰椎及び第4胸椎付近にチューブ型電極を留置し、前者にて刺激、後者にて導出し、ESP波形を記録した。コントロールを記録後、左鎮骨下動脈を結紮し、胸部下行大動脈を単純遮断し、経時的にESP波形を記録した。 2.結果 5頭中ESP波形の消失は2頭(40%)にみられた。(遮断18分、20分)しかし、遮断解除と共に波形の再現をみた。2頭にESP波形の減弱がみられ、(50%減弱は、遮断20分、32分 残り1頭は60分の遮断中全く変化がみられなかった。一般に犬においては、左鎮骨下動脈直下の胸部大動脈の単純遮断の際に約半数が、何ら特別な補助手段を行わなくても脊髄機能は温存されると言われており、我々の実験対象を犬とした場合、約20分間の試験遮断を行い、ESP波形の変化を検討する事が重要であると思われた。今後、この方法にて実験対象犬のスクリーニングを行う方針である。
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