1988 Fiscal Year Annual Research Report
門脈腫瘍栓除去に関する実験的検討ー腫瘍塊の転移着床及び門脈の血栓形成性についてー
Project/Area Number |
63570595
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Research Field |
General surgery
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
熊田 馨 京都大学, 医学部, 講師 (00025602)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉橋 和義 京都大学, 放射性同位元素総合センター(薬理学), 助教授 (10025653)
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Keywords | 門脈 / 腸骨静脈 / ラット腹水肝癌細胞 / 内皮付着 / 血管壁線溶能 / ラセン条片標本 / セロトニン / 収縮反応 / 内皮細胞 / アスピリン |
Research Abstract |
1)家兎門脈、下大静脈及びサル門脈、下大静脈骨盤静脈内皮細胞とラット腹水肝癌細胞の着床の検討。 各部位別に採取した静脈内にコラーゲナーゼを充填することにより、分離した初代培養内皮細胞を用いた。その上に、ラット腹水肝癌細胞の浮遊液を重層し、一視野下の付着細胞数を直接カウントした。 各部位での付着細胞数に有意差は見られなかったが、腫瘍細胞の種類による差がみられた。また、付着細胞はいづれもヘパリンの添加により抑制され、抗癌剤の添加で逆に促進された。 内皮細胞の部位別培養は現段落では充分に安定しないので各部位間の腫瘍細胞の付着性の比較については、今後とも検討を続ける必要がある。 2)血管壁の線溶能の検討 家兎より門脈及び下大静脈を採取し、ホモジナイズした上で、それぞれの線溶能を標準フィブリン平板法により検討した。線溶活性は下大静脈に比較して門脈の法が有意に高く、前年度にラットを用いて行った同じ検索結果と同様の傾向がみられた。しかし、tissue plasminogen activator値には有意差はみられていない。 3)サルの摘出腸骨静脈及び門脈ラセン条標本を用いる張力の変化を等尺性に記録した。腸骨静脈ではセロトニン単回投与により一過性収縮反応が惹起され、これは内皮細胞依存性であったが門脈における同反応には認められなかった。また腸骨静脈の上記反応はアスピリン処置により抑制されたが門脈では影響を認めなかった。 血栓形成に関してセロトニンの内皮細胞活性化の関与を想定すると、腸骨静脈、門脈における上記反応の差はヒトで骨盤静脈血栓症の頻度は極めて高く、逆に門脈血栓性の頻度がまれであるという臨床的事実を支持するものとおもわれる。
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Research Products
(2 results)