1989 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト腫瘍浸潤リンパ球の自己腫瘍に対する抗腫瘍活性の誘導とその癌治療への応用の研究
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63570599
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
日傳 晶夫 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (60199007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上川 康明 岡山大学, 医学部附属病院, 講師 (00152851)
折田 薫三 岡山大学, 医学部, 教授 (20033053)
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Keywords | 腫瘍浸潤リンパ球 / ヒト腫瘍 / 養子免疫療法 / 腫瘍細胞障害活性 / γδ型T細胞レセプタ- |
Research Abstract |
1.岡山大学第1外科で手術された各種臓器癌組織から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を分離採取して研究に用いた。その分離において、組織片をコラゲナ-ゼ、ヒアルロニタ-ゼ、DNaseで18時間処理した時、最も純度の高いTILが得られた。 2.TILの培養は、ヒト血清加RPMI培地にヒトリコンビナントIL-2を加えて行ったが、この時ヒト末梢血からのLAK細胞誘導に使用したspent mediumを加えるとTILの増殖は著しく増強した。 3.TILの細胞障害活性の誘導には、末梢血からのLAK細胞誘導と異り7日から10日間を要した。ひきつづき培養を続けると、bulk cultureの場合にもクロ-ン化した場合にも、細胞障害活性は1ヵ月を過ぎると漸次低下した。臨床的に治療に用いるためには、低下した細胞障害活性を回復される手段が必要であると考えられた。 4.細胞障害活性の低下はたTILをPWM結合ビ-ズと短時間接触させることにより細胞障害活性を回復され得ることを見出した。この方法によって摘出された腫瘍組織から抗腫瘍活性をもつリンパ球を無限に得ることができ、永続的な培養TILを用いた養子免疫療法が可能となった。 5.TIL中には、末梢血に比べてγδ型T細胞レセプタ-(TCR)をもつTリンパ球が多く含まれることが明らかとなった。 6.腫瘍組織の組織免疫染色法によって、γδ型TCR陽性T細胞は間質の毛細血管にそってびまん性に浸潤していることが明らかになった。 7.今後、培養TILを抗腫瘍活性を上昇させた状態で癌患者に移入する養子免疫療法を計画している。 8.今後、ヒトにおいてγδ型TCRをもつリンパ球が自己腫瘍と反応していることを証明する研究を計画している。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 折田薫三、日傳晶夫: "BRM(TNF、インタ-ロイキンなど)" 医薬ジャ-ナル. 25. 2207-2215 (1989)
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[Publications] 大野聡、長田裕典、山本優、日傳晶夫、田中紀章、折田薫三: "PWM固定化刺激材(CMC-1)誘導Killer細胞の抗腫瘍効果の検討" Biotherapy. 3. 455-458 (1989)
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[Publications] 柚木茂、日傳晶夫、立本昭彦、岡本康久、所〓、田中紀章、折田薫三: "マウス肝転移モデルにおけるLAK療法の新しい試み-ノイラミニダ-ゼ処理LAK細胞を用いて-" Biotherapy. 3. 1241-1244 (1989)
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[Publications] 立本昭彦、日伝晶夫、山本浩史、岡本康久、大野聡、村上仁、小野稔、田中紀章、折田薫三: "Neuraminidase処理LAK細胞による肝再生の制御" 消化器と免疫. 22. 174-177 (1989)