1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63570601
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
田中 紘輝 鹿児島大学, 医学部附属病院, 講師 (00163519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本坊 健三 鹿児島大学, 医学部附属病院, 医員
風呂井 彰 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (60219136)
帖佐 信行 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (40188503)
本屋 敏郎 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助教授 (60166345)
平 明 鹿児島大学, 医学部, 教授 (30041289)
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Keywords | GVHD / 多臓器移植 / 免疫抑制剤 |
Research Abstract |
方法:体重12〜22kgの子豚25組を用いた。Ice slushの腹腔内散布による低体温下に臓器温20℃前後で移植臓器(肝・胆・膵、脾、胃から大腸までの全消化管)をen blockに摘出し同所性に移植した。免疫抑制剤は、術当日より、メチルプレドニゾロン1mg/kg/日を1週間、ciclospolin(CS)をピ-クレベル2000ng/ml以下、trough lebel 300〜500ng/mlを目標として、2〜4mg/kg/日を投与した。実験群をI群:免疫抑制剤非投与群、II群:免疫抑制剤投与群、III群:免疫抑制剤投与+摘脾群の3群に分け、生存率及び死後の病理所見、死因を比較検討した。 結果:耐術例20頭のうち、3日以上生存した14頭の平均生存日数は12日、最長20日で、3群間の生存率に有意差はなかった。死因は肺炎、敗血症など感染症3例、イレウス4例、graft versous hast disease(GVHD)が強く示唆されたもの3例、Rejection様変化1例、その他3例であった。GVHDが示唆されたものは、I、II群の最長20日生存例と、III群の15日生存例で,共に移植後8〜10日頃より、全身紅皮症が出現し、次第に水泡形成、表皮剥離を呈し、肺炎等を合併して死亡した。組織学的には、移植臓器にはほとんど変化がなく、recipientの皮膚に、表皮の異常角化と壊死像、一部潰瘍形成がみられ、又真皮上層付属器周囲への著明な細胞浸潤が認められた。骨髄の病理所見ではcellularityの減少、hypoplasiaの像を呈し、末梢血液検査では、顆粒球減少がみられ、皮膚所見と併せてGVHDに基づくものと推測した。 考案:腹腔内多臓器を一塊にした移植後の免疫反応は、rejectionよりもGVHDが優位に出現する事が示唆された。GVHDの発症はステロイドを併用したCS投与でも予防できなかったし、脾摘群では同様であった。多臓器移植の長期生存には、GVHDに対する適切な対策が必要と思われた。
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Research Products
(1 results)