1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63570601
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
田中 紘輝 鹿児島大学医学部附属病院, 講師 (00163519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石部 良平 鹿児島大学, 医学部, 助手 (30223027)
本屋 敏郎 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助教授 (60166345)
平 明 鹿児島大学, 医学部, 教授 (30041289)
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Keywords | 多臓器移植 / 頑固な下痢 / denervation |
Research Abstract |
豚を用いて、胃から大腸迄の全消化管と肝・胆・膵・脾臓を含む腹部多臓器を一塊として摘出し、それを同所性に移植した。長期生存をうる為には、慢性の頑固な下痢が問題になる事が判明していた。この病態を追求する為、I群:denervation(n=5),II群:腹部多臓器移植(n=8),III群:腹部多臓器移植に免疫抑制剤下K506を投与した群(n=4)と分け、平均生存期間、剖検または屠殺後、移植各臓器のHE染色を行い病理学的に検討した。denervation群はグラフト摘出と同様の手技にて、腹腔内臓器を遊離し、下腸間膜動脈は結紮切離し、腹腔動脈及び上腸間膜動脈周囲の結合組織、神経、リンパ等は完全に除去し、移植群と同様にdeーnervation,リンパ路の遮断を行った。実験動物はすべて体重12〜22Kgの雑種豚を用いた。1.生存期間 I群は死亡例なく、平均観察期間は23日で7〜49日目に屠殺した。II群は生存期間は7〜21日、平均11±5日であった。III群は生存期間は3〜14日、平均7±4日であった。3群ともほぼ全例に術後2〜3日目より激しい水様性下痢を来し、体重減少が著明になり漸時衰弱していった。2.病理組織学的所見1)肝:I及びIII群では細胞浸潤は認められなかったが、II群では門脈域の混合性細胞浸潤、肝細胞の壊死及び萎縮を認めた。2)膵:各群とも細胞浸潤及び壊死をほとんど認めなかった。3)空腸:I群では変化を認めなかった。II群では粘膜及び粘膜下層への著明な炎症細胞の浸潤cryptitisを認めた。III群は粘膜への軽度のリンパ球浸潤とcryptitisを認めた。又十二指腸、回腸、大腸にも各群それぞれ空腸と同程度の所見を認めた。[結語]腹部多臓器移植における慢性の頑固な下痢は、免疫抑制剤では軽減できず、拒絶反応やGVHDの関与以前にdenervationやリンパ路遮断によるところが大きいものと考えられる。したがって長期生存をうる為には経静脈性の栄養管理が必要である。
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Research Products
(1 results)