1988 Fiscal Year Annual Research Report
反復性血栓症患者にみられた異常血液凝固制御因子の機能と構造の解析
Project/Area Number |
63570604
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
村山 英樹 自治医科大学, 医学部, 講師 (70146166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
照喜名 重治 自治医科大学, 医学部, 講師 (80146159)
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Keywords | 一塩基置換 / 異常プロテインC / コンホメーション異常 / 培養内皮細胞への結合 / 活性異常アンチスロンビンIII |
Research Abstract |
1.血液凝固反応制御因子の一つ、Protein C(PC)の異常分子。PC tochigiの遺伝子クローニングし、その異常部位の解析を行った:PCのcDNAをプローブとして、正常及び患者の血液より単離したDNAを種々の酵素で消化後、サザンブロットを行った結果、患者PC遺伝子には大きな欠失は認められなかった。また、正常及び患者のDNAをHind IIIで消化後、その17ー19Kb断片を用いてgenomic libraryを作製し、PC遺伝子クローニングを行った。Exon I〜IX及び5ーflanking regionを含む領域を、dideoxy法で塩基配列を決定した結果、患者PC遺伝子のExon VIに、一塩基置換(C→T)が見出され、PC tochigiはH鎖Arg^<12>のコドン(CGG)がTrp(TGG)のコドンに置換していることが明らかとなった。従ってPC tochigiではThrombinによる活性化反応が起らず、患者は血栓傾向症状を示したものと思われる。 2.再発性静脈血栓症患者より、スロンビンやXa因子を阻害せず免疫学的に一部差の見られる異常アンチスロンビンIII(ATIII)を精製し、これらの異常が蛋白質部分の違いに由来することを、正常ATIIIと異常ATIIIを用いて、近紫外CDースペクトラムの分析することで明らかにした。 3.異常ATIIIの血管内皮細胞との相互反応:精製した正常、異常ATIIIを^<125>IーNaで標識し、培養したヒト臍帯内皮細胞と反応させると、結合量は異なるが経時的な内皮細胞への結合が見られた。細胞をあらかじめスロンビンやHeparinで処理すると、結合量が増加するが、異常ATIIIの結合量増加は正常ATIIIの場合より少ない。培養内皮細胞上におけるATIIIのスロンビン及びXa阻害活性は、精製蛋白標品Xa、prothrombinを用いた再構成系でのスロンビン生成阻害活性を測定した結果異常ATIIIは全く酵素阻害活性を示さないことが明らかとなった。従って、患者ATIIIは血管内皮細胞への結合能は一部残存しており、スロンビンなどの刺激で増加するが、液相系での反応と同様に異常ATIIIの活性は回復しないことが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Uratani,Y.;et al.: Thrombosis Research. 49. 591-600 (1988)
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[Publications] Asakura,S.;et al.: Biochimica et Biophysica Acta. 952. 37-47 (1988)
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[Publications] Matsuda,M.;et al.: New England Journal of Medicine. 319. 1265-1268 (1988)
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[Publications] Asakura,S.;et al.: Acta Haematologica Japonica. 52. (1989)