1988 Fiscal Year Annual Research Report
イヌ同所性肝移植手技の確立と新免疫抑制剤FK506の免疫抑制効果判定の実験的研究
Project/Area Number |
63570608
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
横田 和彦 北里大学, 医学部, 講師 (40112669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧島 常雅 北里大学, 医学部, 助手 (00154948)
刑部 恒男 北里大学, 医学部, 講師 (60146404)
佐藤 光史 北里大学, 医学部, 講師 (40118815)
内田 久則 北里大学, 医学部, 非常勤講師 (30050420)
阿曽 弘一 北里大学, 医学部, 教授 (00050310)
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Keywords | イヌ肝臓移植 / 同所性肝臓移植 / 免疫抑制剤 / Bioーpump / 無肝期 / FK506 / シクロスポリン |
Research Abstract |
臨床肝移植を行うにあたって、大型動物による手術経験とその成功は、必須の条件である。手術手技上、無肝期の循環動態の安定化が必要であり、無肝期にVーV BypassをおきBioーpump使用による強制灌流を行うことにより、循環動態の安定化が得られ、生存率の著明な向上をみた。以前に行ったイヌ肝臓移植では、無肝期にバイパスを置かないカフ法によって血管吻合を行った群およびY字形バイパスで圧差灌流し、手縫い法によって血管吻合を行った群での4日以上の生存・成功率は、52〜57%であったが、今回Bioーpump使用による強制灌流を行った結果、30頭中23頭(76%)が4日以上生存した。この手術手技は、肝臓移植の最大の困難点である無肝期を安全に乗りきり、安定した手術となったということができ、臨床肝移植を行うための、安全確実な手術であるといえる。この手術手技に習熟することにより臨床肝移植を行い得ると確信する。 新免疫抑制剤FK506(FK)の免疫抑制効果について検討するため、5頭はFK0.1mg/kg/day、5頭はFK0.2mg/kg/dayを筋注し、6頭はFK1.0mg/kg/dayを経口投与した。FK0.1mg/kg/day投与で、14・14・28・90日の生存をえた。FK0.2mg/kg/day投与では38日の生存をえたFK1.0mg/kg/day投与では13・14・15日の生存をえた。90日生存犬は経過中肝機能はよく保たれ、死亡時TーBil2.5mg/dlで、腎機能の異常は認めなかった。肝の組織像では明らかな拒絶反応は認めなかった体重減少は著明であった。死因は筋注群で腹膜炎、経口投与群では腸重積が多かった。FK単独投与による免疫抑制効果については、シクロスポリンの著明な生着延長効果には及ばないが、FKにも生着延長効果が認められた。他剤との合併投与で、さらに生着延長効果の得られることが期待される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 横田和彦,佐藤光史: 北里医学. 18. 451-462 (1988)
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[Publications] 佐藤光史,横田和彦: 北里医学. 18. 589-595 (1988)
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[Publications] 内田久則,横田和彦,刑部恒男,中山義介,佐藤光史 他: 臨床外科. 43. 45-55 (1988)
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[Publications] 阿曽弘一,横田和彦,佐藤光史,内田久則: 臨床栄養. 72. 659-665 (1988)
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[Publications] 内田久則,横田和彦,佐藤光史,刑部恒男,中山義介 他: 移植. 23. 200-208 (1988)
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[Publications] 横田和彦,瀧島常雅,内田久則,佐藤光史,刑部恒男 他: 日本外科学会雑誌. 89. 207 (1988)