1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63570610
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
黒柳 能光 北里大学, 医学部, 講師 (80170140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩谷 信幸 北里大学, 医学部, 教授 (80050376)
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Keywords | 医薬徐放剤 / 制癌剤 / ポリアミノ酸 / 局所化学療法 / 安全評価 / 埋入試験 |
Research Abstract |
従来の医薬血管内投与法においては、医薬の血中濃度の一時的な上昇に伴う副作用が改良すべき問題点である。制癌剤の徐放化は、目的部位の組織内医薬濃度を長期間有効濃度に保つことができるため癌の局所化学療法として極めて効果的な手法である。本研究ではポリアミノ酸の中でポリーLーロイシンをマトリックスとして選びポリマー自身の安全性を調べた。安全性評価として、(1)溶出物試験(UV吸収、KMnO_4還元性物質、pH、泡立、スズ、亜鉛)、(2)急性毒性試験、(3)発熱性物質試験、(4)溶血性試験、(5)皮内反応試験、(6)移植試験、(7)培養細胞増殖阻害試験、(8)培養細胞寒天重層試験、(9)接触性皮膚アレルギー試験、(10)皮膚一次刺激試験、(11)復帰変異原性試験を行った、ポリーLーロイシンは、すべての試験に合格し、医薬徐放剤のマトリックスとして適した材料であることが明らかとなった。ポリーLーロイシンをマトリックスとする針型制癌剤徐放剤は、ポリマーのベンゼン溶液のゲル化現象を利用して作成した。分子量30万〜40万の高分子量のポリーLーロイシンは、0.25%のベンゼン溶液でも室温で容易にゲル化した。そこで、このベンゼン溶液に制癌剤の5ーFuを混合し70℃に加温し、この混合溶液を直径5mmのガラス管内に吸引し、室温でゲル化させた。この棒状ゲルをガラス管内からとり出し、延伸させながら自然乾燥すると針型医薬複合体が得られた。この複合体の表面をポリーLーロイシンの薄膜で被覆して針型医薬徐放剤を作成した。複合体の医薬含有量ならびに表面の外層膜の厚さと医薬放出速度の関係を明らかにするために生理食塩水中で医薬放出挙動を調べた。5ーFu含量が75%、外層膜厚が50μmの医薬徐放剤は約2週間にわたる徐放性を示した。さらにこの医薬徐放剤をマウス背部皮下に埋入して、生体内での医薬放出挙動を調べた。一定期間埋入した針型医薬徐放剤をとり出し、ポリロイシンマトリックス内の残留医薬量を調べた結果、4週間にわたり徐放された。
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