1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63570612
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
門福 強樹 昭和大学, 医学部, 助手 (00152760)
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Keywords | 細胞増殖 / 肝再生 / 再生肝 / 増殖の調節 / 肝切除 |
Research Abstract |
肝臓を外科的に部分切除すると、残余肝細胞は急速な分裂増殖を開始し、切除前の大きさにまで再生されるとそこで分裂増殖を停止する。このような肝再生には表皮増殖因子や肝細胞増殖因子が重要な役割をしていることが報告されているが、分裂の開始および停止の調節機構に関してはなお不明である。我々は部分肝切除後の残余肝細胞に含まれる蛋白質を高分解能2次元電気泳動法で分析し、現在まで報告の無い特異蛋白質を検出している。この特異蛋白質は2次元電気泳動パタ-ンで見る限りにおいては、切除後数時間で出現し、その後除々に消失する。また開腹だけの擬手術では出現しないことから肝切除後の細胞増殖の調節に何らかの役割を担っていることが示唆されるものである。そこで我々は部分肝切除したラットの残余肝細胞からこの蛋白質を分離し、細胞増殖における役割を明らかにする目的で研究を進めている。前年度は特異蛋白質の精製を主眼において実験を進めたが、収量が悪く、また得られた標品も単一ではなかったため、その後の解析に困難を極めた。そこで本年度は純化された特異蛋白質を大量に得ることを目的として研究を進め、以下の結果を得た。1.部分肝切除ラットの残余肝細胞(肝切除後3〜12時間)から特異蛋白質を種々のクロマトグラフィ-(硫安分画、DEAE-セファロ-スカラム、ゲル濾過、等電点電気泳動、調製用電気泳動、ConA-セファロ-スカラム)によってほぼ均一になるまで精製した。2.得られた精製蛋白質をウサギに免疫して抗血清を作成した。この抗血清は免疫電気泳動で検索するとやや不純な成分との反応が観測されたので、正常肝細胞のホモジネ-トで吸収した抗血清を用いて実験した。3.吸収抗血清を用いたロケット免疫電気泳動による特異蛋白質の定量法を確立した。4.現在、得られた特異蛋白質のモノクロ-ナル抗体を作成し、合成機構について検索中である。
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