1988 Fiscal Year Annual Research Report
リポソーム性強磁性体微粒子と、高周波誘導加熱による加温法の研究
Project/Area Number |
63570613
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
新井 一成 昭和大学, 医学部, 講師 (50129805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 恵史 昭和大学, 医学部, 助手
福島 元彦 昭和大学, 医学部, 助手
小口 勝司 昭和大学, 医学部, 教授 (50129821)
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Keywords | ハイパーサーミア / 高周波誘導加熱 / 強磁性体微粒子 / リポソーム / 腫瘍選択的加温 |
Research Abstract |
癌集学的治療法の一つとして、温熱療法は施行されているが、腫瘍の選択的加温法に関して、より一層の検討が必要である。本研究は、四三酸化鉄(Fe_3O_4)微粒子を、免疫原性および毒性はないリポソームの脂質分子膜で覆い、さらに腫瘍親和性物質であるヘマトポルフィリンを結合させリポソーム強磁性体微粒子(HP-LM)を作製し、高周波誘導加熱による腫瘍に対する選択的な加温法の開発を目的として検討を行った。 HP-LMはホスファチジルコリン、コレステロール、ヘマトポルフィリンジメチルエステルを溶解後、溶媒を除去し、平均粒径150〓の強磁性体微粒子と蒸溜水を加えて超音波照射し、作製した。HP-LMの透過型電子顕微鏡像では、強磁性体微粒子の周囲に、リポソーム膜が形成されていた。家兎加温実験では、高周波誘導加熱装置は、周波数400KHz、出力10Kw、コイル径90mmを使用した。家兎下腿部にVX-2腫瘍細胞を1.5×10^7個移植し、腫瘍径3cmとなった時点で動注群では、HP-LM、Fe_3O_4を、それぞれ200mg/kg大腿動脈より投与し直後に加温した。静注群は同様に耳静脈より投与し24時間後に加温した。対照群は非投与とし、温度計測は腫瘍中心部と腫瘍辺縁部で施行した。HP-LM投与動注群では、10分間加温で、腫瘍中心部で16.13℃、腫瘍辺縁部で19.45℃上昇、Fe_3O_4投与動注群と対照群の両群に対して有意差を認めた。静注群では、10分間加温で、腫瘍中心部で、5.65℃、腫瘍辺縁部で6.40℃上昇を認めるものの、Fe_3O_4投与静注群と対照群の両群と対比しても有意差はなかった。組織像では鉄染色で、動注群において、腫瘍中心部、および辺縁部の毛細血管内、さらに腫瘍細胞内にも鉄の微粒子が染色されていた。現在、動注群では腫瘍に高率に集積し有効な加温が得られたが、静注群では網内系への取込みも多く腫瘍への集積は十分でない。投与法、加温法についてさらに検討中である。
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